第2節 時代に合った構造的な地域づくり

コラム 官民連携によるPREを活用した区役所新庁舎の建替え(東京都豊島区)

 築50年を越える東京都豊島区役所本庁舎は、老朽化による安全面・防災面の不安等から、建替えがかねてより課題とされていました。しかしながら、区の財政は大変厳しい状況にあり、庁舎を新たに建設することは困難な状況にありました。
 そこで、豊島区は、第一種市街地再開発事業で新庁舎を整備することとし、再開発建物の中に「権利床の取得」と「保留床の購入」により区庁舎部分の床を確保するとともに、旧本庁舎敷地と分庁舎・公会堂敷地を定期借地権により民間事業者に貸付け、その地代から保留床購入費用を捻出することとしました。豊島区役所新庁舎は、区の財政負担が実質なしで建替えが実現し、2015年5月7日に開庁しました。
 公共施設については、区役所新庁舎(建物の1階の一部及び3〜9階)と駐車場・駐輪場を整備し、民間施設については、建物の1〜2階に商業施設等を含めた複合施設を整備し、11〜49階には分譲マンションが整備されています。
 このように、公共施設、商業施設、集合住宅等を一体的に開発・整備することで、住環境が改善されることになり、また、その地域全体の魅力の向上にも貢献することになります。
 都心部を中心に、このような官民連携を活用する事例が増えており、地方公共団体等で所有するPREを工夫して活用することにより、困難な財政状況を改善することが可能となるなど、今後もPREの活用が期待されています。
 
図表2-2-32 PREの活用事例:市街地再開発事業による新庁舎整備(東京都豊島区)
図表2-2-32 PREの活用事例:市街地再開発事業による新庁舎整備(東京都豊島区)


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