第1節 我が国経済とこれを取り巻く環境

■3 国際環境

(1)国際的な分業体制の構築
 2008年のリーマンショック以降、為替は円高方向に推移した中、日本企業の製造拠点の海外展開が進んだ。これにより、海外で生産し、海外で販売する流れが作られ、日本国内からの輸出が減少することとなった注4。製造業の海外生産比率注5は増加基調にあり、2012年度以降は2割を超えている(図表1-1-7)。
 
図表1-1-7 海外生産比率の推移(製造業)
図表1-1-7 海外生産比率の推移(製造業)
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(2)新興国の台頭
 特にアジア諸国の経済は成長しており、2010年には中国のGDPが我が国を上回ることとなった(図表1-1-8)注6。一人当たりのGDPで見ても、シンガポールが我が国を上回るなど、アジア諸国の成長が顕著にあらわれている(図表1-1-9)。
 
図表1-1-8 アジア諸国及びロシアのGDP(名目)の推移
図表1-1-8 アジア諸国及びロシアのGDP(名目)の推移
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図表1-1-9 アジア諸国及びロシアの一人当たりGDP(名目)の推移
図表1-1-9 アジア諸国及びロシアの一人当たりGDP(名目)の推移
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 急速な経済成長を遂げてきているアジア地域の存在は、我が国における産業立地の動向に影響を及ぼしているばかりでなく、経済全体にとって極めて重要なものとなっており、我が国の地域の将来を考える上で重要な要素となっている。

(3)国際競争力を支えるインフラ
 このように、世界経済において国際競争が激化する中で、日本の国際競争力を強化するためには、産業・都市基盤の整備による立地、就労・居住環境の改善や、交通ネットワークの強化による移動・物流サービスの強化が必要である。


注4 ここ数年見られた円安方向への推移により、国内回帰の動きはあるものの、アジアを中心とした新興国との厳しい競争にさらされる環境にある。
注5 海外現地法人売上高を海外現地法人売上高と国内法人売上高の和で除したもの。
注6 2013年に我が国のGDPが減少しているのは、為替が円安方向に推移したことによる影響が大きい。


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