第2節 国土交通省における新たな技術・サービスの社会実装の取組み状況

■2 イノベーションに関わる取組み

■i-Constructionの推進
 現在、建設現場で働いている技能労働者約326万人(2016年時点)のうち、55歳以上が約1/3を占める等、労働者の高齢化が進行しており、今後10年間で高齢化等により離職する可能性が高いことが想定されている。また、建設業では高齢者の大量離職の見通しとともに、若年技能労働者の離職率の高さが懸念されている(図表2-2-3)。企業及び建設業離職者への調査によると、離職の理由のそれぞれ上位8つのうち共通する項目として、「休みがとりづらい」、「作業に危険が伴う」、「労働に対して賃金が低い」、「ひと月の仕事量によって賃金額が変動する」の4つがあげられる(図表2-2-4)。
 
図表2-2-3 3年目までの離職率の比較(全産業と建設業)
図表2-2-3 3年目までの離職率の比較(全産業と建設業)
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図表2-2-4 企業が考える若年技能労働者が定着しない理由/建設業離職者(離職時若年層)が仕事を辞めた一番の理由
図表2-2-4 企業が考える若年技能労働者が定着しない理由/建設業離職者(離職時若年層)が仕事を辞めた一番の理由
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 企業の問題意識や若年離職者の実態を踏まえ、国土交通省では、今後到来する労働力人口の減少に向けて、劇的な進展を遂げるICTなどを活用しながら、建設業が生産性を高めながら現場力を維持できるような取組みを進めている。
 建設業は社会資本整備の担い手であると同時に、社会の安全・安心の確保を担う、我が国の国土保全上必要不可欠な「地域の守り手」であり、人口減少や高齢化が進む中にあっても、これらの役割を果たすため、建設業の賃金水準の向上や休日の拡大等による働き方改革とともに、生産性向上が必要不可欠である。そこで、国土交通省では、調査・測量から設計、施工、検査、維持管理・更新までの建設生産プロセス全てを対象としてICT等の新技術を活用する「i-Construction」(図表2-2-5)を推進し、建設現場の生産性を、2025年度までに2割向上させることを目指している。2016年度は3つのトップランナー施策として、3次元データを活用するための15の新基準や積算基準等を定めた上で、切土や盛土といった工事へICTを活用する「ICTの全面的な活用(ICT土工)」や、コンクリート工の規格の標準化等の「全体最適の導入」、2カ年国債の活用やゼロ国債の設定などによる「施工時期等の平準化」を推進した。
 
図表2-2-5 調査・測量から設計、施工、検査、維持管理・更新までの全ての建設生産プロセスでICT等を活用するi-Construction
図表2-2-5 調査・測量から設計、施工、検査、維持管理・更新までの全ての建設生産プロセスでICT等を活用するi-Construction

 2017年3月までには584工事でICT土工が実施された。岐阜県高山市丹生川町で行われた中部縦貫丹生川西部地区道路建設工事では、施工者がICT土工に積極的な取組みを行っており、ドローン(UAV)測量の検証や、マシンコントロール(MC)バックホーによる切土法面成型などを実施した(図表2-2-6)。本工事では、UAV及びICT建設機械の活用により、測量日数の短縮を初めとして工期が大幅に(36日から7日へと約30日)短縮し、経験の浅いオペレーターでも高精度に仕上げることが可能となり、測量及び法面整形時の機械化で作業員が法面から滑落するなどの事故の危険性が無くなったという成果が得られた。
 
図表2-2-6 岐阜県高山市 中部丹生川西部地区道路建設工事におけるMCバックホーによる切土法面成型の様子
図表2-2-6 岐阜県高山市 中部丹生川西部地区道路建設工事におけるMCバックホーによる切土法面成型の様子

 また、大分県大分市で行われている大分川ダム建設工事においても、積極的なICTの活用が取り組まれており、以前は6人体制だった測量が、UAV測量により最小で2人体制になるなど効率化が図られている。また、独自の建設生産システムの開発により、自動ダンプトラックと自動ブルドーザーの連動作業、自動振動ローラによる転圧作業等が可能になり、ダム工事における自動化が進んでいる。予めタブレット端末で指示を出せば複数の建設機械が自動的・自立的に運行・施工を行うことができるため、熟練技能者以外でも扱うことが可能となった。
 ICTの活用は地方公共団体にも広がりを見せつつあり、新潟県が発注したICT土工の第1号工事である、板倉区国川地区地すべり対策工事では、当該工事の施工者において、自社で保有するICT建設機械を活用し、ICT建設機械を活用できるオペレーターの育成にも取り組まれた。本工事では、工期の短縮効果に加え、重機まわりの作業が減少することにより、重機との接触事故が防止され、安全性が向上することが現場から報告されている。国土交通省では、ICTの活用を普及するため、地域建設業や地方公共団体への職員を対象に全国468箇所で講習会を開催し、36,000人以上が参加した。
 さらに、様々な分野の産学官が連携して、IoT・AIなどの革新的な技術の現場導入や3次元データの活用などを進めることで、生産性が高く魅力的な新しい建設現場を創出するため、「i-Construction推進コンソーシアム」を2017年1月に設置した。このコンソーシアムでは、最新技術の現場導入のための新技術発掘や企業間連携の促進方策を検討する「技術開発・導入ワーキンググループ(WG)」や、3次元データを収集し、広く官民で活用するため、オープンデータ化に向けた利活用ルールやデータシステム構築に向けた検討等を実施する「3次元データ流通・利活用WG」、i-Constructionの海外展開に向けた国際標準化等に関する検討を実施する「海外標準WG」による3つのWG活動等を実施することとしている(図表2-2-7)。
 
図表2-2-7 i-Construction推進コンソーシアム
図表2-2-7 i-Construction推進コンソーシアム

 今後も、ICTの活用工種の拡大(舗装、浚渫への活用拡大、橋梁などにおける試行)やCIMの導入、i-ConstructionコンソーシアムのWG活動等を通じた建設現場への新技術の実装や更なる普及・促進施策の充実等により「給与が良く」「十分な休暇が取得でき」「将来に希望が持てる」魅力ある新たな建設現場の実現を目指す(図表2-2-8、図表2-2-9)。
 
図表2-2-8 ICT活用工種の拡大
図表2-2-8 ICT活用工種の拡大

 
図表2-2-9 CIMモデルの考え方
図表2-2-9 CIMモデルの考え方

■クルマのICT革命
 現在、交通事故の96%は運転者に起因していると言われており、自動運転は、交通事故の削減、渋滞の緩和、少子高齢化による公共交通の衰退等への対応、国際競争力の強化等の自動車交通を巡る諸課題の解決に大きな効果が期待されている。また、自動運転技術の実用化により、安全性の向上、運送効率の向上、新たな交通サービスの創出などが図られ、大幅な生産性向上に資することが期待されている(図表2-2-10)。
 
図表2-2-10 自動運転により解決が期待される政策課題の現状
図表2-2-10 自動運転により解決が期待される政策課題の現状

 (一社)日本自動車工業会が行った2015年度乗用車市場動向調査注44では、「自動運転に期待すること」と、「非関心理由」のそれぞれ一位が「安全性が高まる」、「安全面で不安」という回答となっており共に安全への関心が高い。この結果から読み取れるとおり、創出されたイノベーションが社会に受け入れられるためには、新しい技術やサービスへの不安を払拭する必要がある。そのためには、より高度な技術の研究を行うことにより安全性を確かめ、技術やサービスを社会に実装するためのルールの整備やシステムの実証を行う必要がある。
 自動運転の実用化に向けて、各国がレーダー、カメラ、レーザースキャナー等や車両技術の向上を様々な事業者や政府が一体となって研究開発・実験を行うとともに、ルールの整備やシステムの実証を進めているところであり、自動運転分野において主導権を握れるようしのぎを削っている。
 このため、我が国が世界をリードしていけるよう、高度なデジタル地図や通信利用技術、ドライバーとシステムの安全かつ円滑な意思疎通の方法の検討、路車協調システム等、自動運転技術に係る国際基準等のルール整備、社会実験・実装等を進めており、2016年11月には国土交通省内に国土交通省自動運転戦略本部を開催し、同本部において自動運転の実用化のための検討課題を整理し、実証実験計画や環境整備等について議論を行っている。また、自動運転における損害賠償責任に関する研究会を設置し、「自動車損害賠償保障法」上の損害賠償責任の課題について、迅速な被害者救済の確保、負担の納得感、国際的な議論の状況等に留意しつつ検討を実施するなど、ルールの整備を行っている。
 今後は、「中山間地域における「道の駅」等を拠点とした自動運転サービス」について実証実験場所を選定し、2017年夏頃から実証実験を開始する予定である。また、2022年度以降における高速道路(東京〜大阪間)でのトラック隊列走行技術(後続無人隊列走行)の事業化を、2020年度の無人自動走行による移動サービス等の事業化をそれぞれ目指し、2018年1月から後続車有人での実証実験注45や、経済産業省と連携してラストマイル自動走行に取り組む予定である(図表2-2-11)。こうした取組みにより、自動運転が実用化し、高齢者等移動弱者の移動手段の確保や公共交通の補完、ドライバー不足の解消や技術・ノウハウに基づく国際展開などが期待されている。
 
図表2-2-11 民間事業者のプロジェクト構想
図表2-2-11 民間事業者のプロジェクト構想

■物流生産性革命
 近年の我が国の物流は、トラックドライバー等の人手不足が深刻化している一方で、トラックの積載率が4割程度まで低下するなど様々な非効率が発生している。将来の労働力不足を克服し、経済成長に貢献するため、業務効率の改善と付加価値の向上により、物流の大幅なスマート化を図る物流生産性革命を推進している。具体的には、改正物流総合効率化法の枠組みを活用したモーダルシフトや共同輸配送等の促進、宅配便の再配達を削減するためオープン型宅配ボックスの導入促進、小型無人機による荷物配送の実現に向けた物流用ドローンポートシステムの開発支援、物流を考慮した建築物の設計・運用についての関係者への周知等に取り組んでいる。
 特に付加価値の向上に関しては、現在、物流システムの国際標準化の推進を通じた我が国物流事業者の海外展開の支援と、それらを通じた諸外国の物流サービスの質の向上に取り組んでいる。サプライチェーンのグローバル化が進み、アジアをはじめとする諸外国の物流需要が拡大する中で、我が国物流事業者の海外展開を効果的に支援するためには、我が国の物流システムを国際標準化し、市場のスタンダードを早期に獲得していく必要がある注46。特に保冷宅配便サービスを含むコールドチェーンについては、ASEAN諸国等の国民所得の上昇等に伴う生活水準の向上によって、その整備がさらに進み、物流の高付加価値化が進むことが期待されており、我が国物流事業者は現在、ASEAN諸国等のコールドチェーン物流分野への進出を積極的に進めているところである。物流事業者の海外展開を支援するため、国土交通省では、2016年3月より物流事業者、業界団体、行政機関等からなる連絡検討会を設置し、我が国物流システムの国際標準化の取組みを進めている。このような中で、2017年2月には英国規格協会(BSI)より、我が国物流事業者の保冷宅配便サービスをベースにした、世界初の規格(PAS1018)が発行されたところであり、今後は国際規格であるISO規格の策定を目指す。加えて、2018年度には、日ASEANの交通連携の枠組みにおいて、ASEAN地域のコールドチェーン物流の質の向上を目的としたガイドラインをASEAN政府と共同で策定する予定であり、今後はこのような国際標準について、各国政府との政策対話等の場を活用した働きかけによって普及を促していく。これらの国際標準化の取組みは、アジアをはじめとした世界各国でコールドチェーン物流を安全・安心に利用できる環境を整えるとともに、人々の生活の利便性向上や中小企業のビジネス支援、電子商取引の発展や農水産物、医薬品等の市場拡大への貢献が期待されている(図表2-2-12)。
 
図表2-2-12 物流システムの国際標準化による生産性向上
図表2-2-12 物流システムの国際標準化による生産性向上

■海事生産性革命(i-Shipping&j-Ocean)
 海事分野においては、造船業の生産性向上と燃料のムダ使い解消・故障ゼロの運航を目指す取組みである「i-Shipping」と、海洋開発市場の成長を我が国海事産業が獲得することを目指す取組みである「j-Ocean」の両輪により、強い産業、高い成長、豊かな地方を目指す「海事生産性革命」を「生産性革命プロジェクト」に位置づけ推進している(図表2-2-13)。
 
図表2-2-13 海事生産性革命(i-Shipping&j-Ocean)
図表2-2-13 海事生産性革命(i-Shipping&j-Ocean)

 我が国の造船業は、1956年以降2001年まで建造量世界1位、シェアは最大50%超を占めていたが、中国や韓国の台頭により、現在世界3位、シェアは約20%まで落ち込んでいる。こうした現状を受け、i-Shippingでは、情報通信技術等を活用して船舶の「開発・設計」から「建造」、「運航」に至る全てのフェーズにおいて生産性を向上させ、競争力強化を図ることとしている。
 i-Shippingの「開発・設計」においては、新船型の開発期間を半減させることを目標とし、従来の船舶が、試験水槽による最適船型の検討・性能検証と改良の反復で開発されているところ、高度CFDの実用化により、試験水槽による試験の一部を代替させることで、開発期間の短縮を図っていく。
 「建造」及び「運航」については、近年著しく発展するIoT・ビッグデータ等を活用して造船・舶用分野の設計・生産や船舶の運航の効率化、高度化を図るため、2016年度は4件の船舶の革新的建造技術と7件の先進的な船舶技術の開発に対する支援を実施した。加えて、これら先進的な技術を活用した船舶の研究開発、製造、導入、普及を促進するための先進船舶導入等計画の認定制度の創設などを内容とする「海上運送法及び船員法の一部を改正する法律」が2017年4月12日に成立した(図表2-2-14)。
 
図表2-2-14 先進船舶の導入等計画の認定制度
図表2-2-14 先進船舶の導入等計画の認定制度

 また、海底油田・ガス田等の海洋開発分野は、世界のエネルギー需要の拡大に伴い、中長期的に拡大する見込みであり、我が国の海事産業(造船業、舶用工業、海運業等)にとって重要な新しい市場である。j-Oceanでは、この成長する市場を獲得するため、この分野の船舶等の設計、建造から操業に至るまで、幅広く技術力、生産性等の向上を図ることとしている。

■インフラメンテナンス国民会議
 国土交通省では、2013年を「メンテナンス元年」と位置づけ、2014年5月には国土交通省インフラ長寿命化計画(行動計画)を策定し、インフラの老朽化対策に取り組んでいるところである。この計画を着実に実施するためには、インフラメンテナンスに係るトータルコストの縮減・平準化を図るなどして戦略的なメンテナンスに取り組む必要がある。この取組みを加速化させるため、産学官民が一体となって技術や知恵を総動員し、メンテナンスに取り組むインフラの維持管理・更新に社会全体で取り組むためのプラットフォームとして、2016年11月に「インフラメンテナンス国民会議」注47が設立された。国民会議には、建設分野に限らず、情報通信技術、ビッグデータ解析、材料、加工技術などの様々な業種の企業や、地方自治体、NPO等の多様な主体が参画し、オープンイノベーションの手法を用いて、会員が具体的な関心事項や課題について情報交換しながら議論を深め、技術開発や課題の解決策の方向性を見出す公認フォーラムを設置している。国民会議の設立以降、革新的技術、自治体支援、技術者育成、市民参画、近畿本部の5フォーラムが設置されており、その具体的な取組みとして、IT、航空測量技術等の最新技術を河川管理への実装化を図る「革新的河川管理プロジェクト」や、近畿・中部で主に地方自治体の課題解決を目的とした異業種間の交流を図る「地方フォーラム」(試行を含む)等を実施している。2017年2月に開催した「自治体支援フォーラム」ではICTツールを活用して遠隔地の地方自治体等がオンライン上で質疑応答するなど、全国を対象とした官民の効果的な情報交換や議論、先進的な取組みの水平展開のための工夫を行っている。(図表2-2-18)
 
図表2-2-18 2016年度の具体的取組み
図表2-2-18 2016年度の具体的取組み

 「革新的河川管理プロジェクト」ではIT、航空測量技術等の最新技術をオープン・イノベーションの手法によりスピード感をもって河川管理への実装化を図り、河川管理及び災害対応の高度化を図ることを目的に実施しており、第一弾として、(1)陸上・水中レーザードローン、(2)クラウド型・メンテナンスフリー水位計、(3)全天候型ドローンの実用化に向けたオープン・イノベーション参画に関する公募が2016年11月に行われた。2016年12月、2017年1月にピッチイベント注48を開催し、2017年3月には、(1)3チーム、(2)12チーム、(3)2チームの開発チームが結成され、早いものは2017年4月から現場で試験的に計測を行うなど、スピーディーな現場実装を目指している注49
 このように産学官民のオープンな議論の場を促進する取組みによって、企業連携や官民マッチングによる現場試行が徐々に進んでいる(図表2-2-19、図表2-2-20)。
 
図表2-2-19 企業連携・技術マッチングの成果
図表2-2-19 企業連携・技術マッチングの成果

 
図表2-2-20 河川管理プロジェクトマッチングの状況
図表2-2-20 河川管理プロジェクトマッチングの状況

 これらの取組みを通じて、インフラメンテナンスのあらゆる段階で、様々な技術や民間のノウハウを活用し、インフラメンテナンスの生産性革命を実現するイノベーションを起こすと共に、メンテナンス産業の育成・活性化に取り組む。

■気象ビジネス市場の創出
 IoTやAI等の技術の進展により、幅広い産業において気象データを利用した生産性の飛躍的向上が見込まれる。例えば、一般の人から写真を提供してもらうことで予報に活かしたり、気象情報だけでなく、早さ・燃費の少なさなどを考慮し、運ぶ物の特性や業界の状況を鑑みながら、ルーティングサービスまで併せたサービスを海運・航空・鉄道事業者へ提供するなど、様々な分野におけるサービスの下支えを担っている。2017年3月に、産業界と気象サービスのマッチングを行う「気象ビジネス推進コンソーシアム」注50を立ち上げ、IoTやAI等の先端技術を活用した新たな気象ビジネスの創出・活性化を強力に推進している。今後気象データに関する情報・知見の共有、気象データ利用の先端事例創出に向けた実証実験や、利活用に向けた課題への対応について議論を行い、気象ビジネスフォーラムの地方開催等を開催する予定である。
 また、気象庁では、同庁の保有する情報やデータについてオープンデータの取組みを行っている。2013年5月には天気や気温の変化がもたらす「気候リスク」を定量的に把握し、リスクの軽減やビジネスチャンスに活かすための専用サイトを開設した。サイトでは企業や農家が気候リスクへの対応にデータを活用しやすくなるよう、天候が商品の売り上げや農産物の育成とどう関連するかを分析する方法や実際の対応例などを紹介している。また、全国各地の過去の観測データについて、期間を指定してダウンロードできるほか、2週間先及び1カ月先の気温予測データも取得できるようにしている。
 今後、訪日外国人旅行者等に提供する気象情報の環境整備として、各種情報に用いる予報区注51GIS(地理情報システム)データの作成・公開を行い、気象情報や執るべき行動の多言語化等を進めることとする。
 2020年までにGDP押上効果2,000億円注52を実現することを目標としながら、気象関連分野におけるオープンイノベーションやオープンデータの取組みを進めている(図表2-2-21)。
 
図表2-2-21 気象ビジネス市場の創出
図表2-2-21 気象ビジネス市場の創出

■交通関連ビッグデータを活用した新たなまちづくり(スマート・プランニングの推進)
 これまで都市計画の分野では、人口分布や施設立地状況等のデータによる「静的な分析」に基づいて公共施設等の立地検討が行われてきた。一方、近年は、スマートフォンを活用したGPSデータやWi-Fiデータ等を用いて、個人単位の移動データを取得するといったビッグデータによる「動的な分析」が可能となる環境が整いつつある。国土交通省では、このような交通関連ビッグデータを活用し、人の属性ごとの「行動データ」をもとに、利用者の利便性や事業者の事業活動を同時に最適化する施設立地を可能とする「スマート・プランニング」の開発に取り組んでいる。
 2016年度は岡山市をケーススタディとして、中心市街地の回遊性向上という課題に対して、仮想でオープンカフェを設置したときの歩行者回遊の変化を予測するシステムを開発し、その施策効果を検証した。今後は、得られた知見をもとに、オープンカフェだけでなく、福祉センターや保育施設といった主要都市施設の立地による予測や公共交通による中心市街地来訪者数等の変化予測を実施する等の改良を進めることで、官民共同で都市全体を最適化するまちづくりを可能とすることを目指す(図表2-2-22)。
 
図表2-2-22 スマート・プランニングの推進
図表2-2-22 スマート・プランニングの推進

■高速道路を賢く使う料金
 首都圏の高速道路の料金体系については、社会資本整備審議会道路分科会国土幹線道路部会の中間答申(2015年7月30日)において、「首都圏料金の賢い3原則」に従って、料金体系の整理・統一、起終点を基本とした継ぎ目のない料金の実現、政策的な料金の導入が必要とされたところである。
 この方針に基づき、整備の経緯の違い等から、料金水準や車種区分等が路線や区間によって異なっている圏央道の内側の料金体系について、三環状の整備の進展を踏まえ、これまでの整備重視の料金体系から、対距離制を基本とした利用重視の料金体系へ2016年4月に移行した(図表2-2-23)。
 
図表2-2-23 首都圏の新たな高速道路料金の概要
図表2-2-23 首都圏の新たな高速道路料金の概要

 新たな高速道路料金の主なポイントとしては、現行の高速自動車国道の大都市近郊区間の料金水準への統一、車種区分は5車種区分への統一である。
 また、道路交通や環境等についての都心部の政策的な課題を考慮し、圏央道の利用が料金の面において不利にならないよう、起終点の最短距離を基本とした継ぎ目のない料金を導入している。
 新たな高速道路料金導入後、都心通過から外側の環状道路へ交通が転換し、都心通過交通は約1割減少(東名高速、東北道間の都心通過は約5割減少)した。この結果、首都高速の交通量は約1%減少し、渋滞損失時間は約1割減少している。また、ネットワーク整備進展と料金水準引き下げにより、圏央道利用が促進され、圏央道の交通量が約3割増加するとともに、圏央道沿線の物流施設の新規立地も約4.6倍に増加している。
 また、2017年6月には、近畿圏の高速道路についても、より効率的に賢く使われるよう、料金水準を現行の高速自動車国道の大都市近郊区間を基本とする対距離制を導入し、車種区分を5車種区分に統一、また、今後のネットワーク整備の財源確保などの観点を踏まえた新たな高速道路料金体系を導入することとしている。

■リニア中央新幹線
 超電導リニアは超電導を利用した世界に誇る日本独自の先端技術である。従来の鉄道のように車輪とレールとの摩擦を利用して走行するのではなく、車両に搭載した超電導磁石と地上に取り付けられたコイルとの間の磁力によって非接触で走行するため、500km/時という超高速走行が安定して可能となる。
 日本においては、東海道新幹線開業の2年前である1962年に当時の日本国有鉄道の鉄道技術研究所が、次世代の高速鉄道の開発として研究を始めた。その後、鉄道開業100年の記念行事の一つとして行われた1972年の公開実験では、研究所構内の長さ480mの走行路で60km/時の浮上走行に成功した注53
 第四次全国総合開発計画(1987年国土庁)においても、「中央新幹線注54について長期的視点から調査を進めるほか、磁気浮上式鉄道など新しい技術の開発や建設コスト低減のための既存技術の高度化を進め、質の高い鉄道システムの実現を目指す。」と記載されており、国鉄改革以降は、(財)鉄道総合技術研究所(現在の(公財)鉄道総合技術研究所)が研究を引き継ぎ、技術開発が進められた。2007年4月に現在の東海道新幹線の代替輸送路として、首都圏から中京圏でリニア中央新幹線の営業運転を開始することを目標とする方針をJR東海が表明し、2009年7月には超電導磁気浮上式鉄道実用技術評価委員会において「超高速大量輸送システムとして運用面も含めた実用化技術の確立の見通しが得られた」と評価された。2011年5月、営業主体及び建設主体としてJR東海を指名し、整備計画の決定並びにJR東海に対する建設の指示を行った。2014年10月、工事実施計画について国土交通大臣は認可を行った。
 超電導リニアの技術開発については、1990年の運輸大臣通達に基づき、JR東海と鉄道総研が共同で作成した「超電導磁気浮上方式鉄道技術開発基本計画」により推進されている。同計画における開発期間が2016年度で終了することから、2017年2月に、第20回「超電導磁気浮上式鉄道実用技術評価委員会」において、JR東海と鉄道総研により今後の技術開発の方向性について、同委員会に報告され、審議・了承された。このことを受け、国土交通省は2017年3月、「超電導磁気浮上方式鉄道技術開発基本計画」の変更を承認した。
 リニアは、長年にわたり官民が一体となって技術開発や実証実験を推進することにより、安全性の検証を重ねて創出されたイノベーションであると言える。今後、国土交通省では、社会実装されるリニアを活かし、大都市をつなぐスーパー・メガリージョンの形成や、地域活性化の取組みへの支援(アクセス道路、駅周辺整備、観光地整備、公共交通の整備等)、米国への超電導リニア導入の働きかけによる国際展開を行うこととしている。これにより、移動の更なる高速化による都市間の結びつきの高まりや大都市の国際競争力強化、南海トラフ等災害時のリダンダンシー、リニアを活かした地域活性化や国際展開が期待されている(図表2-2-24、図表2-2-25)。
 
図表2-2-24 沿線地域におけるまちづくりに向けた取り組みの例
図表2-2-24 沿線地域におけるまちづくりに向けた取り組みの例

 
図表2-2-25 リニアを活かしたまちづくりの展開
図表2-2-25 リニアを活かしたまちづくりの展開

■シェアリングエコノミーへの対応
 シェアリングエコノミーは、「個人等が保有する活用可能な資産等(スキルや時間等の無形の物を含む。)を、インターネット上のマッチングプラットフォームを介して他の個人等も利用可能とする経済活性化活動」とされている(シェアリングエコノミー検討会議中間報告書注55)。既存のリソースを効率的に活用することや個人が多種多様なサービスを提供・享受することを可能とするシェアリングエコノミーにより、新しいソリューションやイノベーションの創出を通じて、我が国の課題解決に貢献する可能性がある。一方で、利用者のプライバシーの保護、安全性の確保やルールづくりや現在の暮らしとの調和等、シェアリングエコノミーが抱える課題も存在する。
 世界におけるシェアリングエコノミー市場は、2025年には約3,350億ドル規模にまで拡大注56すると言われている(図表2-2-26)。日本においても海外発の事業者等によるシェアリングサービスの提供が一部で開始されており、対応が必要となっている。
 
図表2-2-26 シェアリング・エコノミー産業の想定売上増加額
図表2-2-26 シェアリング・エコノミー産業の想定売上増加額
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(民泊への対応)
 近年、インターネット上の民泊マッチングサービスが世界各国で展開されており、我が国でもこうしたサービスを利用した民泊サービスが急速に普及している。
 国土交通省では、急増する訪日外国人観光客のニーズや大都市部での宿泊需給の逼迫状況等に対応するため、民泊サービスの活用を図ることが重要であり、その活用に当たっては、公衆衛生の確保や地域住民等とのトラブル防止に留意したルールづくり、無許可で旅館業を営む違法民泊への対応が急務であることから、「住宅宿泊事業法案」を、2017年3月に国会へ提出し、同年6月9日に成立した。

(カーシェアリングへの対応)
 2014年に、「レンタカー型カーシェアリングにおける乗り捨て(ワンウェイ)方式の実施に係る取り扱いについて」を発出し、レンタカー型カーシェアリングを乗り捨て(ワンウェイ)方式により行う場合において、IT等の活用により車両管理が可能と認められるときは、無人の路外駐車場において貸渡又は返還が行われるか否かを問わず、この駐車場を配置事務所として許可等をし、この配置事務所を道路運送車両法第7条第1項第5号の「使用の本拠の位置」とすることができることとした。これにより、乗り捨て(ワンウェイ)方式によるレンタカー型カーシェアリングの導入車両数は、2014年度末160台に対し、2015年度末は460台と約3倍となった。
 より一層の社会実装のため、2016年度には「道路空間を活用した小型モビリティによるカーシェアリング社会実験」や「高速バス&カーシェアリング社会実験」を行っている(図表2-2-27)。
 
図表2-2-27 高速バス&カーシェアリング社会実験概要(浜松インター駐車場)
図表2-2-27 高速バス&カーシェアリング社会実験概要(浜松インター駐車場)

(ライドシェアへの対応)
 自家用車を用いたいわゆる「ライドシェア」注57については、運行管理や車両整備等について責任を負う主体を置かないままに、自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態を前提としており、このような形態の旅客運送を有償で行うことは、安全の確保、利用者の保護等の観点から問題があり、極めて慎重な検討が必要である。
 なお、自家用車を用いたライドシェアについては、ドイツ、フランス、英国(ロンドン市)、韓国等において禁止されている。
 一方で、日本において社会的に受容される合法な旅客運送サービスにおいて、ICTの活用による利便性や生産性の向上を図ることは重要であると考えており、タクシーにおけるスマートフォンの配車アプリの活用による「運賃事前確定サービス」や「相乗りサービス」等の新たなサービスの実現に向けた実証実験に必要な経費を2017年度予算案に盛り込むこととしている。

■耐火性のある木質部材等
 木材は再生可能な循環型の資源であり、住宅、建築物等への木材利用は、森林の活性化を図り、地方創生や地球温暖化対策の観点からも重要である。
 公共建築物は展示効果やシンボル性が高いことから、公共建築物を木造で建築することにより、木材利用の重要性や木の良さに対する人々の理解を深めることが期待できる。しかしながら、戦後、火災に強いまちづくりに向けて、耐火性に優れた建築物への要請が強まるとともに、戦後復興期の大量伐採による森林資源の枯渇や国土の荒廃が懸念されたことから、公共建築物への木材の利用が抑制されていた時期があり、現在も、我が国の公共建築物における木材の利用は低位にとどまっている。このような状況を踏まえて、住宅など一般建築物への波及効果を含め、木材全体の需要を拡大することを目的とし、木造率が低く潜在的な需要が期待できる公共建築物に重点を置いて木材利用を促進する「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律(平成22年法律第36号)」が、2010年10月に施行された。2000年の建築基準法改正による建築基準の性能規定化も端緒となり木造建築の需要や期待が高まってきており、様々な事業者が現在、木質部材の開発に取り組んできている。
 国土交通省においては、木材の利用を促進する観点から、2011年度より実大規模の木造建築物による火災実験等を実施しており、早期の延焼を防止する性能等の火災に対する安全性を検証している。また、「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」の施行を受けて、2013年3月に、技術的難易度が高い木造耐火建築物の整備に関する技術的な事項を取りまとめた「官庁施設における木造耐火建築物の整備指針」を策定し、同年6月には、主に事務所用途以外の建築物を対象として、主として設計段階における木材利用の技術的事項を整理した「公共建築物における木材利用の導入ガイドライン」を取りまとめた。また、2015年5月には、木造建築物についての経験の少ない公共建築物の発注者や設計者が、木材調達や主要構造部に用いる木材の選定、接合部の検討等の建設コストや工期に影響を及ぼす内容を踏まえた合理的な設計ができるよう「木造事務庁舎の合理的な設計における留意事項」を取りまとめ、2016年5月には「木材を利用した官庁施設の適正な保全に資する整備のための留意事項(案)」をまとめた。
 また、2016年4月に農林水産省等においては、「公共建築物における木材の利用の促進のための計画」の見直しを行い、国土交通省においては、新たな技術基本計画を策定したほか、引き続き、建物の安全性に留意しつつ、木材需要の拡大を図るため、木造建築技術先導事業等を行うなど、木造建築市場における新たな建築材料や工法の創出やその実装に取り組んでいる。
 このほか、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会施設の木造化、内装木質化等を進めるほか、直交集成板(CLT注58)や新たな木質部材の活用など、様々な建築物における木材利用の推進が期待される。

■LNGバンカリング拠点の形成
 天然ガスは重油と比較して、二酸化炭素、窒素酸化物、硫黄酸化物の排出量が少なく環境性能が優れており、既に陸上においては、世界的に石油から天然ガスへの燃料転換が進展している。
 現在、北米及び北欧において船舶からの排出ガス規制を高めた特別海域が設定されており、2016年10月には、IMO(国際海事機関)が、日本を含む一般海域における船舶燃料油の硫黄分濃度規制の強化を2020年から開始することを決定するなど、従来の石油系燃料から、環境負荷が低いクリーンなLNG燃料注59への転換が始まっており、船舶の排出ガス規制で先行する北米・北欧では、LNG燃料に対応したコンテナ船、クルーズ船などが出現している。将来的にはアジア地域でも、規制の強化に伴い、船舶のLNG燃料化に対応していく必要がある。
 我が国では、1950年代後半から導入検討を重ねてきた東京ガスと、共同事業を行った東京電力の2社により、世界初の発電とガス事業へのLNGの共同供給システムを構築した。2015年8月には、LNG燃料船「魁」が導入された。魁は、LNGを燃料として使用可能なタグボートであり、小回りの効かない大型船の出入港時や離着岸の補助を行う船舶であるが、自船よりはるかに大きい船や構造物を動かす必要があるため、強力なエンジンを搭載しているのが特徴であり、舶の中では最も厳しい負荷変動を要求されるタグボートでの運用を実現した。現在魁は、横浜港においてTruck to Ship方式によるLNG燃料の供給を受けながら、横浜港、川崎港にて運航中である。
 重油のバンカリング(船舶への燃料供給)拠点はシンガポールが中心であり、LNGバンカリングに関しても積極的に取り組んでいるものの、LNG基地の施設整備が不足しており、LNG燃料船の運航や燃料供給ノウハウに乏しい状況であり、現在アジア地域におけるLNGのバンカリング拠点は未整備に近い状況である。我が国は、世界最大のLNG輸入国であり、横浜港に隣接して既存のLNG基地が多数立地していること、魁の運航や同船に対してのLNGバンカリングを開始していることなどの優位性を活かし、シンガポールと連携し、LNGバンカリングの主導権を握って推進していくことを検討している。2016年10月には、LNG燃料船の導入促進を図るため、「LNGを船舶燃料として開発するための協力に関する覚書(MOU)」に、我が国やシンガポールを含めた7カ国8者で署名し、LNGバンカリング拠点の国際的なネットワークを構築することを目指すこととなった。
 
図表2-2-29 LNGバンカリングに関する我が国が目指すべき方向性
図表2-2-29 LNGバンカリングに関する我が国が目指すべき方向性

 我が国港湾におけるLNGバンカリング拠点の形成を推進し、海上の環境負荷の低減に繋がるLNG燃料船の更なる導入促進・需要創出を図るために、2016年6月に設置した「横浜港LNGバンカリング拠点整備方策検討会」注60において、国が率先して主導的な取組みを行うことの重要性が報告された。国土交通省では、有識者や民間事業者、関係行政機関の参画を得て、地方整備局等が所有する作業船のLNG燃料化に向けた技術的な検討委員会である、「作業船LNG燃料化技術検討委員会」を同年12月に新たに立ち上げ、作業船のうち海洋環境整備船をモデル船としてLNG燃料化を検討する方針を確認し、LNG燃料設備の搭載に係る課題及び設計条件等について検討を行った。
 引き続き、国土交通省では、我が国港湾にアジアで先駆けて大型船に対応したLNGバンカリング体制の構築を推進するとともに、国際的な連携を我が国が主導して行うこととしている。これにより、我が国港湾へのLNG燃料船の寄港を増大させることで、我が国港湾の国際競争力の強化、ひいては我が国の経済成長に貢献することが期待されている。


注44 2015年8月19日〜9月17日までの全国の主運転者(自動車保有世帯)等へのアンケートによる。また、ここでの設問において「自動運転」はフェーズで分けていない。
注45 後続有人実証実験は、先頭車両のドライバーが運転し、後続車両は有人で自動走行するものである。2019年1月からは後続車が無人の後続無人隊列システムについて、後続有人の状態から実証実験を行うこととしている。
注46 「今後の物流政策の基本的な方向性等について」(2015年12月 社会資本整備審議会及び交通政策審議会答申)においても、「多頻度・小口配送や定時配送等といった顧客ニーズに応じたきめ細やかなサービス、コールドチェーン、宅配システム等我が国物流事業者が有する世界でも最高水準のサービスやノウハウ等を基に、アジア諸国とともにアジアの標準を積極的に形成していくことが重要である。このため、我が国物流システムの規格化・国際標準化を主導的に果たしていくような取組の検討が必要である。」とされている。
注47 2017年3月21日時点では会員数は492者。
注48 ピッチイベントとは、求められる技術仕様に対し、それぞれ参加する者が持つ技術を持ち寄り、プレゼンテーションと質疑及び情報交換等を行う場のこと。これを通じビジネスマッチングを行い、実装化に向けて、迅速に開発するチームの組織作りを支援する、いわば企業間のお見合いの場のことである。
注49 (1)の「陸上・水中レーザードローン」の例では、(株)アミューズワンセルフと、(株)パスコが第1回目の現場実証として由良川水系由良川(近畿地方整備局管理河川)をフィールドに、2017年4月下旬から開始する予定である。
注50 設立時207者。
注51 天気予報に使用される地域区分は、気象庁予報警報規程で定められており、各都道府県をいくつかに分けた一次細分区域単位で、警報や注意報は、二次細分区域単位で発表している。
注52 農業における冷害被害回避、小売における適正在庫管理、気象事業者の売上増等による効果を試算。
注53 2015年4月の有人走行実験では最高速度603km/時の記録を出している。
注54 中央新幹線は、全国新幹線鉄道整備法に基づいて計画された、東京都を起点、大阪市を終点とする新幹線鉄道。1973年に基本計画に位置付けられ、その後、同法に基づき必要な調査が行われた。2010年2月、国土交通大臣が交通政策審議会に対して諮問し、同審議会陸上交通分科会鉄道部会中央新幹線小委員会による検討を経て、2011年5月に決定された整備計画において、走行方式は超電導磁気浮上方式(超電導リニア)とし、最高速度は505km/時とすることが定められた。
注55 内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室(2016年11月)。
注56 2013年時点で約150億ドルと言われている。
注57 自家用車の運転者個人が自家用車を用いて他人を有償で運送するサービスにおいて、運転者と乗客とをスマートフォンのアプリ等で仲介するもの。
注58 Cross Laminated Timber:ひき板(ラミナ)を繊維方向が直交するように積層接着した木質建築部材。
注59 LNGは「Liquefied Natural Gas(液化天然ガス)」の略称で、天然ガスをマイナス162度以下に冷却して液体にしたもの。高圧状態を保つ必要があるため、圧力管理等において、インフラの整備が必要である。
注60 シンガポール港などと連携しつつ、アジアにおけるLNGバンカリング拠点の形成を目指すため、国際コンテナ戦略港湾である横浜港において、我が国初となるLNGバンカリング拠点の整備に関する検討を行っている。


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