第9節 効率的・重点的な施策展開

第9節 効率的・重点的な施策展開

■1 i-Constructionの推進〜建設現場の生産性向上〜

 建設業は社会資本の整備の担い手であると同時に、社会の安全・安心の確保を担う、我が国の国土保全上必要不可欠な「地域の守り手」である。人口減少や高齢化が進む中にあっても、これらの役割を果たすため、建設業の賃金水準の向上や休日の拡大等による働き方改革とともに、生産性向上が必要不可欠である。国土交通省では、ICTの活用等により調査・測量から設計、施工、検査、維持管理・更新までのあらゆる建設生産プロセスにおいて、抜本的な生産性向上を目指す「i-Construction」に取り組んでいる。
 i-Constructionでは、「ICTの全面的な活用(ICT土工)」、「全体最適の導入(コンクリート工の規格の標準化等)」、及び「施工時期の平準化」をトップランナー施策として進めており、平成28年度からは、生産性向上が遅れている土工(盛り土、切り土)について、ICTや3次元データを活用するための新基準等を整備し、国が行う土工についてICT活用を全面的に推進している。
 
図表II-2-9-1 i-Construction
図表II-2-9-1 i-Construction

 さらに、「全体最適の導入(コンクリート工の規格の標準化等)」については、現在開発されている生産性を向上させる技術・工法の普及に向け、適用範囲や施工条件等をまとめたガイドラインを整備、「施工時期の平準化」については、適正な工期を確保するための2か年国債やゼロ国債の更なる活用など、各取組みの着実な実施を図っている。
 また、産学官連携で取組みを加速させるため、「i-Construction推進コンソーシアム(会長 三菱総合研究所理事長 小宮山 宏)」を29年1月30日に設立した。コンソーシアムには、「技術開発・導入WG」、「3次元データ流通・利活用WG」、「海外標準WG」を設置し、最新技術の現場導入のための新技術発掘や3次元データの流通のためのオープンデータ化等を検討していくこととしている。
 これらの取組みに加え、橋梁・トンネル・ダムや維持管理の工事へのICTの活用拡大や、公共工事で得られる3次元データを活用するためのプラットフォームの整備等を進め、37年度までに建設現場の生産性2割向上を目指す。国土交通省の総力を挙げi-Constructionに取り組み、建設現場における一人一人の生産性を向上させ、企業の経営環境を改善し、建設現場に携わる人の賃金の水準の向上を図るとともに安全性の確保を推進していく。


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