第3節 良好な景観形成等美しい国づくり

■2 自然・歴史や文化を活かした地域づくり

(1)我が国固有の文化的資産の保存・活用等に資する国営公園の整備
 我が国固有の優れた文化的資産の保存及び活用等を図るため、国営公園の整備を推進しており、17 公園が開園している。平成28年度には、国営飛鳥・平城宮跡歴史公園(平城宮跡区域)において、平城宮跡展示館等の整備を行った。

(2)古都における歴史的風土の保存
 京都市、奈良市、鎌倉市等の古都においては、「古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法(古都保存法)」に基づき、建築物等の新・増・改築、宅地の造成等行為の制限を行うとともに、土地の買入れなどの古都保存事業や普及啓発活動等を実施することにより、歴史的風土の保存を図っている。

(3)歴史的な公共建造物等の保存・活用
 地域のまちづくりに寄与するために、長く地域に親しまれてきた歴史的な官庁施設の保存・活用を推進している。歴史的砂防施設(平成29年3月31日現在、重要文化財2件、登録有形文化財191件)については、施設及びその周辺環境一帯を地域の観光資源の核として位置付け、環境整備を行うなど、新たな交流の場の形成に資する取組みを促進している。
 
図表II-3-3-2 稲荷山砂防堰堤群(栃木県日光市)地域を守る歴史的砂防施設を活用した観光・交流活動を推進
図表II-3-3-2 稲荷山砂防堰堤群(栃木県日光市)地域を守る歴史的砂防施設を活用した観光・交流活動を推進

(4)歴史文化を活かしたまちづくりの推進
 地域の歴史や伝統文化を活かしたまちづくりを推進するため、「地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律(歴史まちづくり法)」に基づき、62市町(平成29年3月31日現在)の歴史的風致維持向上計画を認定し、計画に基づく取組みを支援している。また、良好な景観や歴史的風致の形成を推進するため、景観・歴史資源となる建造物の改修等の支援を行った。

(5)ミズベリング・プロジェクトの推進
 「ミズベリング」とは、日常的な生活や経済活動を営みながら、身近にある川をほとんど意識していない人々や民間企業に対し、川の外から改めて川の価値を見いだす機会を提供する取組みである。
 
図表II-3-3-3 川床のスケッチ(宮川:岐阜県高山市)
図表II-3-3-3 川床のスケッチ(宮川:岐阜県高山市)

 
図表II-3-3-4 実現した川床の様子(宮川:岐阜県高山市)
図表II-3-3-4 実現した川床の様子(宮川:岐阜県高山市)

 身近なニューフロンティアとして川を活用し、多様な主体が連携することで、新たなソーシャルデザインを生み出しながら、全国各地の水辺から地域活性化を実現しようとする活動であり、全国50箇所以上でその活動が展開されている。
 川の価値を更に生かし、川が地域の宝として役割を果たせるよう、国土交通省はミズベリングを通じて地域の人々や民間企業の取組支援を推進する。

(6)グリーンインフラの取組みの推進
 社会資本整備や土地利用等のハード・ソフト両面において、自然環境が有する多様な機能(生物の生息・生育の場の提供、良好な景観形成、気温上昇の抑制等)を活用して、地域の魅力・居住環境の向上や防災・減災等の多様な効果を得ようとするグリーンインフラについて、多自然川づくりや緑の防潮堤、延焼防止等の機能を有する公園緑地の整備など様々な分野において、その取組みを推進している。


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