第2節 地域活性化を支える施策の推進

■4 広域ブロックの自立・活性化と地域・国土づくり

(1)対流促進型国土形成のための国土・地域づくり
 地域の活性化及び持続的な発展を図るため、地域の知恵と工夫を引き出しつつ、総合的に施策を展開することが重要である。そのため、国土形成計画(全国計画及び広域地方計画)に基づき、対流を全国各地でダイナミックに湧き起こしイノベーションの創出を促す対流促進型国土の形成を目指し、重層的な国土構造、地域構造の形成を図りつつ地域の特性に即した施策展開を図っている。また、地域活性化のための官民連携による戦略や民間活動を支える基盤整備の推進に対する国の支援、多様な主体の協働による自立的・持続的な地域づくりを進めるための施策について取り組んでいる。

1)広域的地域・活性化のための基盤整備の推進
 自立的な広域ブロックの形成に向けたハード・ソフトが連携した取組みを効率的・効果的に実施し、広域にわたる活発な人の往来又は物資の流通を通じた地域の活性化を図るため、都道府県が作成した広域的地域活性化基盤整備計画に基づき、これまでに163の計画に交付金を交付している。このうち88の計画は、より広域的な地域の活性化を図るため、複数の県が連携・協力して作成されている。

2)官民連携による地域活性化のための基盤整備推進支援事業
 官民が連携して策定した広域的な地域戦略に資する事業について、民間の意思決定のタイミングに合わせ、機を逸することなく基盤整備の構想段階から事業実施段階への円滑かつ速やかな移行を図るため、平成28年度においては、地方公共団体が行う概略設計やPPP/PFI導入可能性検討といった事業化に向けた検討に対して、34件の支援を行った。

3)多様な主体の協働による地域づくりの推進
 地方部における多様な主体の協働による自立的・持続的な地域づくりを促進するため、(ア)地域づくり活動の社会的価値評価の把握、(イ)事業型の地域づくり活動(地域ビジネス)を生み育てるための多様な主体が連携した支援体制の構築への支援を行っている。

4)連携中枢都市圏等による活力ある経済・生活圏の形成
 一定規模以上の人口・経済を擁する都市圏においては、経済成長のけん引、高次都市機能の集積・強化及び生活関連機能サービスの向上の実現を目指す「連携中枢都市圏」の形成を促進している。
 対象の都市圏は、地方圏の政令指定都市・中核市(人口20万人以上)を中心とした都市圏(61圏域)が対象であったが、平成27年度は、まち・ひと・しごと創生総合戦略(2015改訂版)(27年12月24日閣議決定)において、一定の条件の下、隣接する人口10万人程度以上の2つの市を中心とした都市圏(複眼型)も対象に追加した。

(2)地域の拠点形成の促進等
1)多様な広域ブロックの自立的発展のための拠点整備
 「多極分散型国土形成促進法」に基づく業務核都市において、業務施設の立地や諸機能の集積が進展しているところであり、引き続き整備を推進している。さらに、「筑波研究学園都市建設法」に基づき、科学技術の集積等を活かした都市の活性化等を目指し、筑波研究学園都市の建設を推進しているほか、つくばエクスプレス沿線で都市開発が進む中、研究学園都市の特性を活かした環境都市づくりに取り組んでいる。一方、近畿圏では「関西文化学術研究都市建設促進法」に基づき、文化・学術・研究の新たな展開の拠点形成を目指して関西文化学術研究都市の建設を推進しており、「関西文化学術研究都市の建設に関する基本方針」に基づき、関係省庁、地方公共団体、経済界等と連携を取りながら、更なる都市建設の推進を図っている。このほか、世界都市にふさわしい機能と良好な居住環境等を備えた地域とするため、「大阪湾臨海地域開発整備法」に基づく整備計画の実施を推進している。

2)集落地域における「小さな拠点」づくりの推進
 人口減少や高齢化の進む中山間地域等では、買物、医療等の生活サービス機能やコミュニティ機能が維持できなくなりつつある地域がある。このため、小学校区等複数の集落を包含する地域において、必要な機能や地域活動の拠点を歩いて動ける範囲に集め、周辺の集落との交通ネットワークを確保した「小さな拠点」の形成を推進している。
 具体的には、遊休施設を活用した生活サービス機能等の再編・集約について支援するとともに、関係府省とも連携して普及・啓発等の取組みを推進している。

3)国会等の移転の検討
 「国会等の移転に関する法律」に基づき、国会等の移転に関連する調査や国民への情報提供等、国会における検討に必要な協力を行っている。

(3)所有者の所在の把握が難しい土地への対応
 「所有者の所在の把握が難しい土地への対応方策に関する検討会」にて平成28年3月に公表した、所有者の探索や土地の利活用の手法等の現場における対応支援のためのガイドラインの改訂及び最終取りまとめのフォローアップを29年3月に行い、同ガイドラインの普及啓発等を行った。


注 東京都区部以外の地域で、その周辺の相当程度広範囲の地域の中核となるべき都市(14拠点)


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