1　北海道総合開発計画の推進

　計画の策定に向けて調査審議を進めた北海道開発分科会からは、「新たな計画の推進状況を確実に点検する体制を北海道開発分科会の活用などによって構築すること。その際には、北海道民を始めとする関係者が連携して新たな計画の実現に向けた取組みを進められるよう、数値目標の共有を図るとともに、推進状況の点検に際しては、その数値目標を踏まえること」などが留意事項として示された。
　そのため、北海道開発分科会の下に計画推進部会を設置し、28年12月及び29年3月に部会を開催して、食、観光、生産空間を支える取組みの数値目標や目標実現のための課題や講じるべき施策、計画の進行管理などについて審議がなされ、分科会に報告する数値目標等が取りまとめられた。

（2）計画の実現を支える施策の推進
　新計画は、本格的な人口減少時代の到来、グローバル化の更なる進展と国際環境の変化、大規模災害等の切迫といった我が国をめぐる諸課題に中長期的な視点で対応するため、策定されたものであり、次のような施策を進めている。

1)人が輝く地域社会
　他地域とはスケールの異なる広域分散型社会を形成する北海道の広大な生産空間から都市部に至るまで、人々が長期にわたり住み続けられる地域社会構造の確立を図るとともに、全国に先行して人口が減少する北海道において、多様な人々を引きつけ、活発な対流を促進することが重要である。このため、高規格幹線道路網等の広域的な交通ネットワークの形成、「道の駅」の重点支援、子育て・高齢化等に対応した豊かな生活環境の整備、離島交通の安定的確保、地域づくり人材の広域的・横断的な支援・協働体制である「北海道価値創造パートナーシップ活動」の展開等を進めている。

2)世界に目を向けた産業
　北海道は、農林水産業、食・観光関連産業などの移輸出型産業に比較優位があり、これらを育成することが重要である。このため、農地の大区画化等による生産力の強化、北海道外等からの食品企業の誘致促進を通じた「食」の総合拠点づくり、景観・地域・観光空間づくりに取り組む「シーニックバイウェイ北海道」やドライブ観光の推進等によるインバウンド観光の振興、国際会議等（MICE）の北海道開催、新千歳空港の機能強化、国際バルク戦略港湾である釧路港等の機能強化等を進めている。

3)強靱で持続可能な国土
　美しく雄大な自然環境を有し、再生可能エネルギー源が豊富に賦存する北海道は、持続可能な地域社会の形成に向け、先導的な役割を果たすことが期待されており、また、安全・安心の確保は、経済社会活動の基盤であり、災害発生時の被害を最小化するとともに、我が国全体の強靱化に貢献することが重要である。このため、湖沼、湿原等の保全・再生、「北海道水素地域づくりプラットフォーム」を通じた水素社会形成に係る普及啓発、平成28年8月の一連の台風災害を踏まえた北海道緊急治水対策プロジェクトを始めとした根幹的な治水対策、社会基盤の耐震化、TEC-FORCE（緊急災害対策派遣隊）の派遣等の災害発生時における地域支援、社会基盤の長寿命化を進めるための「メンテナンスサイクル」の構築、冬期における交通の安全性・信頼性の向上のための取組み等を進めている。