第2節 国土のすがたの変化

■2 都市のすがたの変化

 国土のすがたが変化していく過程において、都市と地方それぞれにおいて、そのすがたが変化してきている。
 ここでは、まず、都市について、そのすがたの変化を概観する。

(1)都市における人口の変化と今後の展望
■人口の変化と今後の展望
 今後の我が国の人口減少は、多くの都市においても決して例外ではなく、各都市の総人口は、一部の大都市を除いて年々減少していくと考えられている。しかし、65歳以上の高齢者について言えば、三大都市圏を構成する東京都区部、中核市・特例市をはじめとした多くの都市において、2040年まで増加していくと考えられている(図表1-2-10)。
 
図表1-2-10 地域別の将来推計人口
図表1-2-10 地域別の将来推計人口

 その中でも、三大都市圏における75歳以上の高齢者数の増加が顕著である(図表1-2-11)。さらに、全国的に75歳以上の高齢者の単身世帯及び夫婦のみの世帯が増加すること(図表1-2-12)、我が国の要介護等認定者のうち在宅の者の8割以上が75歳以上の高齢者であり(図表1-2-13)、その数は今後も増えていくこと(図表1-2-14)が懸念されている。これらのことを踏まえると、今後、三大都市圏において、75歳以上の高齢者の単身又は夫婦のみの世帯、さらには、要介護認定者の大幅な増加が予想される。
 
図表1-2-11 三大都市圏における75歳以上の高齢者人口
図表1-2-11 三大都市圏における75歳以上の高齢者人口
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図表1-2-12 世帯主が高齢者(75歳以上)の世帯のうち単独世帯・夫婦のみ世帯の比率
図表1-2-12 世帯主が高齢者(75歳以上)の世帯のうち単独世帯・夫婦のみ世帯の比率
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図表1-2-13 要介護者等の年齢階級別構成割合の年次推移
図表1-2-13 要介護者等の年齢階級別構成割合の年次推移
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図表1-2-14 要介護者数の推移
図表1-2-14 要介護者数の推移
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 このような中、都市においてはバリアフリーの整備や安心して暮らせる住まいの確保等を進めていく必要がある。

(2)都市のライフスタイルの特徴
 大都市における人口集中は、日常的な混雑・渋滞の一因となっており、こうした混雑・渋滞は、経済的な損失をもたらすとともに人々のライフスタイルに大きな影響を及ぼすものと考えられる。
 最も人口の集中する首都圏においては、この問題が顕著となっている。例えば、我が国で発生する渋滞損失は、年間で約280万人分の労働力に匹敵する経済的損失と考えられており、そのうちの3割を首都圏が占めている(図表1-2-15)。
 
図表1-2-15 我が国の渋滞損失
図表1-2-15 我が国の渋滞損失

 また、通勤・通学時間は、人口が多い都市を多く抱える都道府県ほど長くなっており、中でも首都圏の4都県は上位1位から4位を占め、全てが全国平均(79分)を大きく上回っている(図表1-2-16)。
 
図表1-2-16 都道府県別通勤・通学時間
図表1-2-16	都道府県別通勤・通学時間
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 このような通勤・通学時間の長さは仕事時間(勤務時間+通勤時間)にも影響を与えていると考えられる。首都圏における夫の仕事時間について見ると、1日12時間超との回答が3割を超えており、他の地域に比べて突出して大きくなっている(図表1-2-17)。さらに、男性の長時間労働が多い地域では、女性の有業率は低くなっていることから、首都圏の人口集中は、そのライフスタイルに大きな影響を及ぼしていると考えられる(図表1-2-18)。
 
図表1-2-17 夫の仕事時間(地域別)
図表1-2-17	夫の仕事時間(地域別)
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図表1-2-18 男性の週間就業時間60時間以上の雇用者割合と15〜64歳女性の有業率の関係
図表1-2-18	男性の週間就業時間60時間以上の雇用者割合と15〜64歳女性の有業率の関係


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