第3節 我が国における新たな兆し

コラム バリアフリーアプリ

 バリアフリー情報を共有するアプリが人気を集めています。車椅子の利用者らがスマートフォンのアプリを使い、トイレやエレベーターなどのバリアフリー情報をアプリに投稿し、皆で共有するという仕組みです。このアプリには、車椅子の利用者だけではなく、健常者も投稿ができます。
 2017年5月に公開された「WheeLog!」では、利用者がバリアフリー設備の情報を投稿すると、地図上に登録され、共有できます。さらに、車椅子利用者が外出時に「走行ログ」機能をオンにすると、車椅子の軌跡がマップ上に残るようになっています。そのため、車椅子が通れる場所を知ることができます。
 アプリを発案したのは、電動車椅子を利用する女性でした。インターネット検索会社が主催する社会貢献アイデアコンテストにて、グランプリを受賞して、このアプリを作成するプロジェクトがスタートしました。東京・六本木でのリリースイベントでは、都知事も出席して話題になりました。実際にアプリを利用しているユーザーの方にも好評を得ています。
 また、国土交通省が推進しているバリアフリー・ナビプロジェクト(ICTを活用した歩行者移動支援)では、同アプリを利用した実証実験を行い、その成果は、バリアフリーに関する情報の効率的な収集等に関する検討に活用することが期待されます。
 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、国内でのバリアフリー熱が高まっています。国内外の障害を抱える人がたくさん競技会場を訪れるのを想定して、今後ますますバリアフリーへの理解を深めていく必要があります。多世代の人間がそれぞれ快適に過ごすために、お互いの生き方を理解して、協力しあうことが求められています。
 
図表1-3-13 アプリを利用する街歩きイベント
図表1-3-13 アプリを利用する街歩きイベント

 
図表1-3-14 アプリ利用イメージ
図表1-3-14 アプリ利用イメージ


注 「プローブ情報を活用した“通れたマップ”作成に関する実証実験」。車いす利用者の方が移動された経路の位置情報(走行ログ)を活用して通行可能な経路をマップ上に見える化する手法を検証するための実証実験(2017年11月下旬〜2018年2月)


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