第2節 楽しみ方に対する国民の意識と求められるすがた

■2 楽しみ方について求められるすがた

(1)余暇時間の創出
 現在の余暇の過ごし方は、年代によって多種多様である。これは、各年代の嗜好の違いもあるが、余暇に費やすことのできる時間の長さの影響も大きいと考えられる。今後、長時間労働の是正等により余暇時間を創出することができた場合には、国内外を問わず旅行に出かけることや、自己啓発等将来に向けた前向きな時間の使い方が可能となることが推測されることから、働き方を変えるための取組みが求められる。
 また、余暇を過ごす場所等までの移動の効率化も、行動範囲を広げるためや時間を創出するために必要であり、公共交通の利便性や道路渋滞の緩和等動きの改善に関する取組みが求められる。

(2)楽しみの多様化・深化
(さらに楽しめる場所の創出)
 現状、余暇に使える時間とお金が不足していると感じている人が多く、気軽に楽しめる場所が求められている。また今後、充実させたい余暇として、全年代で「国内旅行」が多く挙げられており、現在も旅行に出かけ余暇を過ごすことの多い高年層に加え、若年層においても国内旅行を充実させたいという希望が多い。
 このため、既存の資源や人を活かし、観光の魅力の向上等により、さらに楽しめる場所を創出させる取組み等が求められる。

(学び直しの機会の創出)
 限られた余暇時間を自己啓発や学び直しの時間に充当させている人は、現在は各年代で一割に満たないが、時間があれば自己啓発や学び直しを充実させたいという希望は大きい。このような中、技術革新等の進展や「人生100年時代」の到来を踏まえると、自分自身を磨く「学び直し」はさらに重要となっていくことから、その機会の創出が求められる。

(3)社会貢献活動の充実
 多様な楽しみ方の中で、地域活動・ボランティア活動等の社会貢献活動に参加することに生きがいを求め、楽しみとする人が潜在的に存在している。こうした意欲は20代や70代で多いが、それぞれ活動資金や活動するコミュニティの不足のため、意欲を満たすことができない人がいると想定される。このことから、お金や時間をかけず、気軽に参加できるコミュニティや活動を増やすこと等、社会参加の場の創出が求められる。
 また、現在、国民の社会貢献活動への参加意欲を、まちづくりやインフラ維持のためのボランティア活動等に活用する取組みが既に各地で行われており、世代を問わず、人と人とのつながりをつくる場になっているとともに、各人の生きがいを創出していると考えられる。我が国の厳しい財政状況を踏まえると、このような活動をさらに広げていくことが、重要である。


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