第1節 働き方に関する取組み

■1 働く場の提供に関する取組み

(女性や高齢者等の新規就労・就業継続への取組み)
■保育施設等の設置の推進
 女性の新規就労や就業継続を支援するためには、待機児童を解消するなどして、女性が新たに働き始める、または、働き続けるための環境整備が必要であり、その下支えとして、保育所等の設置や充実は不可欠である。国土交通省では、これらに対応するため、厚生労働省等の関係者と協力しつつ、具体的な取組みを進めている。
 近年の待機児童の増加への対応として、保育所等を都市公園に占用により設置することを可能にしており、2015年からは国家戦略特別区域に限定して措置し、2017年の都市公園法の改正により全国措置化している(図表3-1-1)。これらの制度を活用した保育所の適正な設置を促すため、地方公共団体や事業者向けのマニュアルを策定し、周知を図っている。
 
図表3-1-1 都市公園内に設置された保育園
図表3-1-1 都市公園内に設置された保育園

 また、大規模マンションにおける保育施設の設置を促すため、地方公共団体に対して、容積率緩和の特例措置を活用しようとする大規模マンション建設時には、特に保育施設に対する局所的な需要増が生じる可能性があるため、都市計画等の立案時点から、都市・建築部局と保育部局で連携・情報共有に努めること等、保育施設の適切な確保が図られるよう要請している。

■国土交通関連業界における女性・高齢者等の担い手の確保・育成
 建設業・運輸業をはじめとする国土交通関連産業においては、女性・高齢者等の担い手を確保・育成するため、情報発信やネットワーク化等、様々な取組みを実施している。

1)建設産業における女性・高齢者等の担い手の確保・育成
 建設業では、高齢者の大量離職が見込まれており、中長期的な担い手の確保・育成が喫緊の課題となっている。このため、男性のみならず女性もいきいきと活躍できる環境を整備し、性別・年代を問わず、さらに魅力的な産業にしていき、担い手の確保につなげていくことが必要である。
 国土交通省では、官民連携の下、建設業における女性技術者・技能者の更なる活躍に向けて、女性が働きやすい現場の創出や、現場で働く女性の声を発信するセミナーの開催、女性活躍に取り組む企業に対する相談窓口の設置等の支援を行っている(図表3-1-2)。
 
図表3-1-2 建設業女性活躍応援プロジェクト(PR活動)
図表3-1-2 建設業女性活躍応援プロジェクト(PR活動)

 また、2018年秋から、技能者一人ひとりの保有資格や就業履歴を業界横断的に登録・蓄積する仕組みである「建設キャリアアップシステム」が運用開始されることとなっている。
 このシステムにより技能者の技能や経験の客観的な把握が可能になることから、技能者の客観的かつ大まかなレベル分けを行う能力評価制度の策定と、技能者を雇用する専門工事企業の施工能力等の見える化を通じて、個々の技能者が適正に評価・処遇される環境の整備が期待される(図表3-1-3、図表3-1-4)
 
図表3-1-3 建設キャリアアップシステムの構築
図表3-1-3 建設キャリアアップシステムの構築

 
図表3-1-4 経験や技能に応じた処遇の実現
図表3-1-4 経験や技能に応じた処遇の実現

2)自動車運送業界における女性・高齢者等の担い手の確保・育成
 トラック・バス・タクシーといった自動車運送事業について、その運転者は、全職業平均と比べ、年間労働時間が1〜2割長い一方、年間賃金は1〜3割低いといった労働環境のため、その不足が深刻化しており、担い手の確保は喫緊の課題となっている。
 国土交通省では、2018年3月に「女性ドライバー等が運転しやすいトラックのあり方検討会」を設置し、女性等のトラックドライバー等の視点に立った車両のあり方に対する議論を開始している。


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