第4節 動き方に関する取組み

■1 都市における動きの快適化に対応する取組み

(公共交通の混雑、道路渋滞の緩和対策の取組み)
■ICTを活用した運行サービスの向上
 東京圏の都市鉄道においては、混雑等による短時間の遅延が慢性的に発生しているほか、異常気象等による長時間の遅延も発生していることから、乗客への情報提供の拡充が重要となる。
 このような中、東京急行電鉄(株)等は、昨今のICTの進展を受け、列車の走行位置情報等のリアルタイム表示や車両ごとの混雑状況を発信するためのアプリを開発(図表3-4-1)し、乗客一人一人にきめ細やかな情報提供をすることによって、運行サービスの向上を目指している。
 
図表3-4-1 東急線アプリのイメージ
図表3-4-1 東急線アプリのイメージ

■遅延の見える化
 東京圏の都市鉄道においては、1956年時点に比べて2015年時点では、総延長が約1,000km延伸するなど、相当程度充実してきた一方で、未だに混雑の緩和等の課題が存在している。
 これを受けて、国土交通省では、東京圏の45路線を対象として、遅延の「見える化」を図るための取組みを行っている。この取組みでは、遅延情報を路線ごとに集計し地図化するとともに、遅延を大規模なものと小規模なものに分け、その発生原因を分析した(図表3-4-2)ほか、各社局の遅延に対する対策の状況を調査し、それらをまとめて公表している。この取組みを通じて、遅延の主な発生原因がその規模によって異なっていること等が判明している。
 
図表3-4-2 東京圏における遅延の原因について
図表3-4-2 東京圏における遅延の原因について

■道路を賢く使う取組み
 道路は、我が国の経済や国民生活を支える基礎的な施設であり、その渋滞の緩和・解消は、極めて重要である。
 このような中、国土交通省では、「道路を賢く使う取組み」として、既存ネットワークの交通の流れの最適化を図るため首都圏・近畿圏における料金制度の見直しを行うことや、ICTを活用した道路交通に関するビッグデータにより渋滞箇所を特定し、効果的なピンポイント渋滞対策等、道路における渋滞の緩和・解消を図ろうとしている。
 
図表3-4-3 首都圏・近畿圏の高速道路を賢く使うための料金体系
図表3-4-3 首都圏・近畿圏の高速道路を賢く使うための料金体系

■踏切道対策
 踏切道とは、鉄道と道路が交差する場所であり、交通事故が発生しやすいところであるとともに、開かずの踏切として渋滞の原因ともなりうるものである。
 国土交通省では、踏切道改良促進法に基づき、立体交差化、踏切道拡幅等に加え、カラー舗装や踏切・駅周辺対策等、ソフト・ハード両面からできる対策を総動員し、踏切対策を推進している。こうした取組みにより、踏切道改良促進法の施行後50年で踏切道数は半減するとともに、遮断機のない踏切は約1割まで減少するなど、踏切事故の防止及び渋滞の解消等交通の円滑化につながっていると考えられる。
 
図表3-4-4 踏切道数の推移
図表3-4-4 踏切道数の推移
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