第I部 まとめ

第I部 まとめ

 我が国においては、本格的な人口減少・少子高齢化社会が到来するとともに様々な課題が生まれており、大きな暮らしの変化が見込まれている。このような中、国民一人ひとりが充実した日々の生活を過ごすことができ、すべての人が輝く社会を目指すこと等が求められている。
 本白書第I部においては、我が国の社会や国土のすがたの変化や、その課題について概観した。その上で、ライフスタイルを「働き方」、「楽しみ方」、「住まい方」、「動き方」の4つの観点から分類し、国民の意識と求められるすがたについて調査、分析を行った。さらに、それらに関する国土交通分野における取組みについて紹介した。
 以上を踏まえつつ、第I部のまとめとして、改めて、ライフスタイルの4つの観点からの課題、今後の方向性及びライフスタイルのすがたについてふれるとともに、未来に向けた国土交通省の役割について述べる。

1 今後の方向性とライフスタイルのすがた
 「働き方」について見ると、労働力人口の減少等に伴い、女性や高齢者等の活用、子育て世代のワークライフバランスの実現、生産性の向上等が課題となっている。それらへの対応の方向性としては、女性・高齢者等の新規就労、子育て世代のワークライフバランスの実現等、ライフステージに応じた働き方の多様化や、意識改革、技術革新等による仕事の効率化等が考えられる。
 「楽しみ方」について見ると、十分に活かせていない高齢者の高い社会貢献意欲、現役世代の少ない余暇時間、若者の楽しめる場所の不足、学び直しの機会の創出等が課題となっている。それらへの対策の方向性としては、働き方改革の進展等による余暇時間の創出、観光の魅力の向上や社会参加の場の創出等による楽しみの多様化・深化等が考えられる。
 「住まい方」について見ると、都市においては今後増加していく高齢者の単身世帯や高齢者夫婦のみの世帯への対応、地方においては急激な人口減少下におけるコミュニティ機能の維持等が課題となっている。それらへの対策の方向性としては、持続可能な地域づくりや住宅の確保等、高齢者等が安心して住まい続けられる環境の整備、地方移住や二地域居住等、人の交流が広がる住まい方の支援等が考えられる。
 「動き方」について見ると、都市においては道路渋滞・交通機関の混雑、地方では車依存の進行と高齢者が運転を継続せざる得ない環境等が課題となっている。それらへの対策の方向性としては、都市においては道路渋滞及び公共交通の混雑の緩和、地方においては公共交通の維持・活性化、自動運転等による移動手段の確保、また、全地域においてバリアフリーによる高齢者等に優しい移動の確保が考えられる。
 以上のような対策が進められることにより、ライフスタイルは大きく変わっていくと考えられる。ソフト・ハード両面からのバリアフリーの整備が進むことなどにより、高齢者がより安心して暮らしていけるなど、「安心な暮らし」が実現する。また子育て世代や女性・高齢者等がより自由な働き方ができることにより、「多様な生き方」が実現する。さらに、楽しめる場所や社会貢献活動等の場が多く生まれることなどにより、「充実した人生」につながる。そして、このようなライフスタイルの実現が、「すべての人が輝く社会へ」つながっていくと考えられる。

2 未来に向けた国土交通省の役割
 国土交通分野は、国民一人ひとりのライフスタイルと大きく関わり、その変化に大きな貢献が期待されている。このような中、未来に向けて、国土交通行政は、すべての人が輝く社会の実現のため、「安心な暮らし」を支える、安心で便利なインフラ整備を実施し、「多様な生き方」につながる、働き方改革を生産性革命等により推進していくとともに、「充実した人生」を育む、楽しみの多様化・深化等の政策についても、しっかり取り組んでいく。


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