第2節 社会資本の老朽化対策等

第2節 社会資本の老朽化対策等

(1)社会資本の老朽化対策
 我が国では、高度成長期以降に整備したインフラが今後一斉に老朽化することが見込まれる(図表II-2-2-1)。このように一斉に老朽化するインフラを計画的に維持管理・更新することにより、国民の安全・安心の確保や維持管理・更新に係るトータルコストの縮減・平準化等を図る必要がある。
 
図表II-2-2-1 社会資本の老朽化の現状
図表II-2-2-1 社会資本の老朽化の現状

 このため、平成25年11月、政府全体の取組みとして、計画的な維持管理・更新等の方向性を示す基本的な計画として、「インフラ長寿命化基本計画」が取りまとめられた。
 国土交通省では、この基本計画に基づき、国土交通省が管理・所管するインフラの維持管理・更新等を着実に推進するための中長期的な取組みの方向性を明らかにする計画として、予防保全の考え方を導入した「国土交通省インフラ長寿命化計画(行動計画)」を他省庁に先駆けて26年5月に策定した。
 
図表II-2-2-2 インフラ長寿命化に向けた計画の体系
図表II-2-2-2 インフラ長寿命化に向けた計画の体系

 現在、行動計画に基づき、各施設の管理者が点検や修繕等を行うとともに、個別施設ごとの具体の対応方針を定める長寿命化計画(個別施設計画)の策定を行うなど、計画的な維持管理・更新に取り組んでいる。
 国土交通省では、必要なインフラが持続可能なものとして維持されるよう、引き続き老朽化対策について、重点的・計画的に取り組んでいく。

(2)メンテナンス産業の育成・拡大
 社会資本整備審議会・交通政策審議会の下に設置された社会資本メンテナンス戦略小委員会において、平成25年12月の「今後の社会資本の維持管理・更新のあり方について」の答申を踏まえ、26年度には、1.「点検・診断に関する資格制度の確立」、2.「維持管理を円滑に行うための体制、地方公共団体等の支援方策」、3.「維持管理・更新に係る情報の共有化・見える化」の今後の方向性に関する提言が取りまとめられた。
 このうち、1.「点検・診断に関する資格制度の確立」については、業務内容に応じた必要な知識・技術等を定め、民間資格の登録制度を創設するとともに、登録された点検・診断等の資格を27年度発注業務から活用している。
 2.「維持管理を円滑に行うための体制、地方公共団体等の支援方策」については、複数の分野や施設の維持管理業務を包括的に民間に委託する手法について、地方公共団体と協力して検討を進めている。
 3.「維持管理・更新に係る情報の共有化・見える化」については、インフラメンテナンス情報ポータルサイトにおいて各施設の点検の実施状況等、社会資本の維持管理情報のうち特に重要な情報の見える化を行っている。
 また、メンテナンスサイクルのあらゆる段階において、多様な産業の技術やノウハウを活用し、メンテナンス産業の育成・活性化を図るため、産学官民が一丸となって知恵や技術を総動員するプラットフォームとして「インフラメンテナンス国民会議」を28年11月に設立するとともに、インフラメンテナンスに係る優れた取組みや技術開発を表彰する「インフラメンテナンス大賞」を創設した。29年度は、「インフラメンテナンス国民会議」の活動の充実・地方への展開に向けて取り組むとともに、「インフラメンテナンス大賞」の第1回表彰式を29年7月に開催した。
 
図表II-2-2-3 個別施設計画を核としたメンテナンスサイクルの構築
図表II-2-2-3 個別施設計画を核としたメンテナンスサイクルの構築

 加えて、29年12月には、社会資本メンテナンス戦略小委員会(第三期)を催し、前述の答申や提言を踏まえた施策の進捗や、市町村の動向等を把握してこれまでの取組のレビューを行うことともに、今後の取組の方向性について検討を行うこととした。
 今後は、以上の取組等を充実させ、メンテナンス産業の育成・活性化によって、着実かつ効率的なインフラメンテナンスの実現や地域活性化を図っていく。
 
図表II-2-2-4 各分野における点検実施状況等の公表状況
図表II-2-2-4 各分野における点検実施状況等の公表状況

(3)モニタリング技術の開発・導入
 社会インフラの状態の効率的な把握を可能とするモニタリング技術の開発・導入の推進に向け、平成25年10月に開催した「社会インフラのモニタリング技術活用推進検討委員会」において、現場ニーズとシーズのマッチングや、有効性の評価・分析を行うため、モニタリング技術の現場実証に係る検討を行った。26年9月より公募を開始し、現場実証等を進めている。

(4)ロボットの開発・導入
 今後増大するインフラ点検を効果的・効率的に行い、人が近づくことが困難な災害現場の調査や応急復旧を迅速かつ的確に実施する実用性の高いロボット開発・導入を推進している。


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