第3節 社会資本整備の推進

コラム ストック効果最大化を目指して

 社会資本の整備には、フロー効果とストック効果があります。フロー効果は、公共投資の事業自体により、雇用等の経済活動が創出され、短期的に経済全体を拡大させる効果です。一方で、ストック効果は、インフラが社会資本として蓄積され、機能することで継続的に中長期的にわたり得られる効果です。
 また、ストック効果には、耐震性の向上や水害リスクの低減といった「安全・安心効果」や、生活環境の改善やアメニティの向上といった「生活の質の向上効果」のほか、移動時間の短縮等による「生産性向上効果」といった社会のベースの生産性を高める効果があります(図1)。
 
図1 社会資本のストック効果
図1 社会資本のストック効果

 ストック効果の具体例としては、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の整備により、移動時間の短縮等が図られました。これに伴い、物流の効率化にもつながることから、沿線自治体における大型物流施設等の立地が進み、その従業者数が5年間で約9,000人増加するなど地域の雇用を創出したほか、企業立地等による沿線自治体の税収も増加したことがあげられます(図2)。
 
図2 ストック効果が発揮された事例
図2 ストック効果が発揮された事例

 我が国の人口が減少していく中においても、経済成長や安全・安心の確保、国民生活の質の向上を持続的に実現していくためには、ストック効果を最大限に発揮する社会資本整備が求められています。
 このため、国土交通省では、発現した多様なストック効果を積極的に幅広く把握し、「見える化」していくとともに、ピンポイントの渋滞対策やダム再生による既存施設の有効活用、ハード・ソフトを総動員した防災・減災対策等の取組みの推進など「賢く投資・賢く使う」を徹底することにより、さらなるストック効果の最大化を目指していきます。


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