第4節 交通政策の推進

■3 総合的な物流政策の推進

 我が国の物流サービスは、トラック輸送を主体として、定時性、安全性、荷主のオーダーに徹底的に応じるサービス等、質の高い水準となっており、製造業のジャスト・イン・タイムを支え、流通業の発展、宅配サービス等による国民生活の利便性の向上に貢献してきた。一方で、近年、人口減少・少子高齢化の進行、情報通信技術(ICT)等の革新、災害リスクの高まり、貨物の小口化・多頻度化の一層の進行と顧客ニーズの多様化等、物流を巡る社会経済情勢は大きく変化している。さらに、物流分野においては、特に労働力不足が顕在化し課題となっており、トラックドライバーの高齢化が進行しているほか、中長期的には人材の確保が更に困難になる可能性があり、早急に対策を講じる必要がある。
 このような状況を踏まえ、平成28年4月に国土交通省生産性革命本部において、生産性革命プロジェクトの1つに採択された「物流生産性革命」プロジェクトの推進に取り組んでいる。関係者が連携した物流の総合化及び効率化に関する幅広い取組みを支援することを旨として、28年に改正された「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律(平成17年法律第85号)」(改正物流総合効率化法)に基づき共同輸配送、モーダルシフト、トラック予約受付システム等を導入した倉庫への輸送網の集約等を内容とする総合効率化計画の認定を進めているほか、宅配便の再配達削減、物流システムの国際標準化の推進等の物流事業の効率化及び高付加価値化に資する取組みを推進することで、物流事業の労働生産性を2020年度までに2割程度向上させることを目標としている。
 こうした「物流生産性革命」の取組みを政府全体の取組みとして改めて位置づけ、関係省庁の連携の下で推進していくために、29年7月に「総合物流施策大綱(2017年度〜2020年度)」を閣議決定した。大綱では、物流を取り巻く社会構造が変化する中で、我が国の経済成長と国民生活を支える社会インフラとしての機能を持続的に果たす「強い物流」を実現するため、働き方改革や新技術の活用等の新しい視点を取り込んだ6つの視点から今後の物流施策の方向性を示している。
 また、30年1月には本大綱で示された方向性に基づいて「総合物流施策推進プログラム」を策定したところであり、具体的な施策を政府が一体となって計画的に実施することとしている。


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