第10節 効率的・重点的な施策展開

第10節 効率的・重点的な施策展開

■1 i-Constructionの推進 〜建設現場の生産性向上〜

 建設業は社会資本の整備の担い手であると同時に、社会の安全・安心の確保を担う、我が国の国土保全上必要不可欠な「地域の守り手」である。人口減少や高齢化が進む中にあっても、これらの役割を果たすため、建設業の賃金水準の向上や休日の拡大等による働き方改革とともに、生産性向上が必要不可欠である。国土交通省では、ICTの活用等により調査・測量から設計、施工、検査、維持管理・更新までのあらゆる建設生産プロセスにおいて、抜本的な生産性向上を目指す「i-Construction」に取り組んでいる。
 
図表II-2-10-1 i-Construction
図表II-2-10-1 i-Construction

 平成28年度から土工についてICTを導入し、約3割の時間短縮効果が確認された。平成29年度からは舗装工、浚渫工への拡大や、「i-Bridge」として橋梁分野への試行を行った。平成29年度は土工で815件、舗装工で79件、浚渫工で24件のICT施工を、「i-Bridge」として35件でCIMの活用を実施している。
 さらに、コンクリート工の規格の標準化、国庫債務負担行為の活用等による施工時期の平準化に取り組んでおり、平準化については、平成29年度の4月から6月の閑散期の稼働件数が対前年度比約1.2倍に増加したことを確認している。
 ICTやロボット等の新技術の現場導入のために重要となる、3次元データの利活用については、昨年11月に「3次元データ利活用方針」を策定し、建設生産プロセスの各段階における3次元データ利活用の方法や今後の取組みを示している。
 また、昨年1月に設立した産学官連携のi-Construction推進コンソーシアムでは、800者以上の会員の参画のもと、5件の現場ニーズと技術シーズのマッチングの実現といった、技術開発・導入の促進などに取り組んでいる。
 加えて、建設現場の生産性向上に係る優れた取組みを表彰する「i-Construction大賞」を創設し、初めての受賞者となる計12団体(国土交通大臣賞 2団体、優秀賞 10団体)を決定し、表彰するなど、普及・促進の取組みを進めている。
 今後は、これまでの取組みを一層推進していくとともに、維持管理・建築分野等へのICTの導入拡大、大規模構造物等における3次元設計の拡大、公共事業のイノベーション転換を図るための新技術導入促進、中小企業の取組みを加速化させるための支援の充実などに取り組み、若者や女性にとっても働きやすく、魅力のある建設現場の創出に向けて、i-Constructionの取組みを一層「深化」させていく。


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