第2節 地域活性化を支える施策の推進

■6 地域の移動手段の確保

(1)地域の生活交通の確保・維持・改善
 地域社会の活性化を図るためにも、日常生活等に必要不可欠な交通手段の確保は重要な課題である。このため、地域公共交通確保維持改善事業において、多様な関係者の連携により、地方バス路線、離島航路・航空路などの生活交通の確保・維持を図るとともに、地域鉄道の安全性向上に資する設備の整備、バリアフリー化等、快適で安全な公共交通の構築に向けた取組みを支援している。平成29年度においては引き続き、「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」の枠組みを活用した地域公共交通ネットワークの再編に対して支援すること等により、効率的で持続可能な地域公共交通ネットワークの実現を促進している。
 
図表II-4-2-5 地域公共交通確保維持改善事業
図表II-4-2-5 地域公共交通確保維持改善事業

(2)地域鉄道の活性化、安全確保等への支援
 地域鉄道は、住民の足として沿線住民の暮らしを支えるとともに、観光等地域間の交流を支える基幹的な公共交通として、重要な役割を果たしているが、その経営は極めて厳しい状況にある。このため、地域公共交通確保維持改善事業等及び税制上の特例措置により、安全設備の整備等に対して支援を行うほか、幹線鉄道等活性化事業により、鉄道利用の潜在的なニーズが高い地方部の路線について、新駅の設置等に対する支援を行っている。

(3)地域バス路線への補助
 地域住民にとって必要不可欠な乗合バス等の生活交通(地域をまたがる交通ネットワークや、幹線交通ネットワークと密接な地域内のバス交通・デマンド交通等)の確保・維持は、重要な課題であり、地域特性や実情に応じた最適な生活交通ネットワークの確保・維持が可能となるよう、生活交通の運行やバス車両の更新等について支援を行っている。また、今後の人口減少が見込まれる中で、生活交通ネットワークを確保・維持するため、地域の特性を十分踏まえつつ、地域の関係者と密接に連携した生産性向上の取組を促進している。

(4)地方航空路線の維持・活性化
 地域航空を取り巻く課題は多く、例えば地域航空会社にあっては、脆弱な経営基盤、少数機材運営による高コスト構造、機材故障時等の欠航、特定の大手航空会社との連携に伴う限定された事業展開といった課題があり、また、大手航空会社にあっては、100席以上の大型機のような使用機材のミスマッチ、大規模需要路線の競争激化に伴う内部補助の限界といった課題がある。
 さらに、旧型小型機の製造終了等に伴う機材更新やその結果としての必然的な供給増、パイロット等の人材確保の難航等、今後も様々な課題が生じることが懸念されている。
 上記のような課題を踏まえれば、地方航空路線を持続可能なものとするため、従来の取組みを超えた地域航空のあり方を模索する必要がある。そのため、平成28年6月より「持続可能な地域航空のあり方に関する研究会」を開催し、平成29年6月に中間とりまとめを公表しており、その内容を受け、持続可能な地域航空の実現に向け検討を進めている。

(5)離島との交通への支援
 離島航路は、離島住民が日常生活を行う上で必要不可欠な交通手段である。平成28年度は296航路で輸送人員需要は43百万人(ここ10年で11%減少)となっているが、その多くは本土より深刻な人口減少、高齢化により、航路の運営は極めて厳しい状況である。このため、唯一かつ赤字が見込まれる航路に対し、地域公共交通確保維持改善事業により運営費への補助、離島住民向け運賃割引への補助、運航効率の良い船舶建造への補助を行っている(30年3月末現在の補助対象航路:121航路)。
 さらに、離島航路利用者の利便性向上や観光旅客需要喚起による地域の活性化のため、高齢又は足の不自由な方がバスに乗ったままフェリーを利用できる海陸連結型バス交通システムの運用を27年4月より開始し、29年度末現在で18事業者が実施している。
 離島航空路については、地域の医療の確保をはじめ、離島の生活を支えるのに欠かせない交通手段であることから、安定的な輸送の確保を図るため、離島に就航する航空運送事業者に対して、総合的な支援(予算:機体購入費補助、運航費補助等 公租公課:着陸料の軽減、航空機燃料税の軽減措置等)を講じている。
 なお、29年度の離島航空路線の数は56路線、うち国庫補助対象は17路線となっている。


注 協議会で維持・確保が必要と認められ、国が定める基準(複数市町村にまたがり、1日の運行回数が3回以上等)に該当する広域的・幹線的なバス路線


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