第2節 総合的・一体的な物流施策の推進

コラム LNGバンカリング拠点の形成に向けて

 近年、船舶からの排出ガス規制の強化が進展し、排出ガスのクリーンなLNGを燃料とする船舶の増加が見込まれており、このLNG燃料船に燃料を供給するバンカリング拠点が十分に整備されていないことが国際的な課題となっています。このため、LNGバンカリング拠点を形成することにより、船舶のLNG燃料化が促進されるとともに、港湾への船舶の寄港数が増大し、港湾の生産性が向上することが期待されます。
 我が国は、世界最大のLNG輸入国でLNG基地が港湾に多数立地するなどLNGバンカリング拠点の形成に向け有利な環境が整っていることから、これまで横浜港等を中心に検討を進めるとともに、世界最大の重油バンカリング港を有するシンガポールとの協力を軸としたLNGバンカリング拠点のネットワーク構築に向けた国際的な取組を主導してきました。
 平成28年10月には、シンガポールにおいて、LNG燃料船の導入促進を図るため、「LNGを船舶燃料として開発するための協力に関する覚書(MOU)」に、国土交通省港湾局、シンガポール海事港湾庁を含めた7カ国8者で署名し、LNGバンカリング拠点の国際的なネットワーク構築を目指すこととなりました。さらに、29年7月には、3カ国3者が新たに加入し、国際連携がより一層強化されました。
 また、29年4月には、日本において、「LNGバンカリング国際シンポジウムin横浜」を国土交通省及び経済産業省の主催のもと開催し、世界からLNGバンカリングの推進に係わる船会社、エネルギー事業者、港湾当局などのステークホルダーが一同に会し(国内外から約550名が参加)、LNGバンカリング拠点の形成及び国際的なネットワークの構築に向けて取り組むべき方向性について関係者間で認識を共有しました。
 さらに、29年8月には、シンガポールにて開催された「シンガポール&日本港湾セミナー2017」において、「LNGバンカリングに関する日・シンガポール共同調査」の開始を発表し、両国間の連携をより一層加速させました。
 30年度には、LNGバンカリング拠点として必要となる施設整備に対する支援制度を創設し、LNGバンカリング拠点の形成促進を図ることとしています。引き続き、シンガポールと連携しつつ、我が国がアジアにおいて先導的にLNGバンカリング拠点を形成することで、我が国港湾へのコンテナ等航路を維持・拡大し、我が国経済の国際競争力の強化を図ってまいります。
 
コラム LNGバンカリング拠点の形成に向けての写真1

 
コラム LNGバンカリング拠点の形成に向けての写真2


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