第2節 自然災害対策

コラム 河川法改正後初の権限代行による河川改修・国直轄で実施する土砂災害対策を九州北部豪雨の被災地域で実施

 九州北部豪雨で大きな被害を受けた河川のうち、特に被害が大きかった赤谷川流域においては、国が新たに権限代行により河川の改修を行うとともに、直轄事業で実施する砂防堰堤等の緊急工事による土砂の流出抑制対策を実施するなど、河川事業及び砂防事業が連携した対策を実施しています。

≪県管理河川における災害復旧工事の権限代行(河川事業)≫
 福岡県が管理している筑後川水系赤谷川、大山川、乙石川では、上流部での山腹崩壊で流出した大量の土砂や流木の堆積が著しく、少しの雨でも二次被害の発生するおそれが極めて高い状況で、緊急的な対応が必要でした。さらに、流出した土砂は非常に流動性が高い性質で施工が困難であることなどにより、工事に高度な技術力を要することから、福岡県知事からの要請を受け、同年7月18日から国において権限代行により緊急的な対応を実施することとしました。この権限代行制度は、同年6月に改正された河川法に基づき、新たに創設したものであり、全国で初めての適用となりました。
 
赤谷川の緊急対策

 また、これら緊急的な対策に続き、本格的な復旧工事についても、土の性質に加え、工事施工段階の土砂による河床の変状をモニタリングし、順応的な対応が不可欠であることなど高度な技術力を要することから、同年11月30日に福岡県知事からの要請を受け、同年12月1日に国において権限代行により実施することとしました。
 今後概ね5年間で、川幅を広げ、護岸を整備し、急な湾曲区間を緩やかにして流れやすくするとともに、流木等の貯留施設を整備するなど本格的な改良復旧を実施していきます。

≪赤谷川流域における国直轄による土砂災害対策(砂防事業)≫
 平成29年7月九州北部豪雨では、斜面崩壊に伴う土砂や流木により土砂災害が多数発生しました。特に被害が大きかった筑後川水系赤谷川流域においては、直轄砂防事業を行うこととなりました。
 上流に残存する土砂や流木が再移動することによる二次災害の防止を図るため、福岡県知事からの要請を受け、平成29年8月10日から国による緊急的な砂防事業の実施を決定し、同年8月16日に工事着手しました。緊急的な工事としては、砂防堰堤や遊砂地工などを整備します。
 また、同年12月1日には、緊急的な工事に引き続き、流域全体の土砂洪水氾濫を防止するために、発災後概ね5年間で国が集中的に砂防堰堤を整備することとしました。
 
赤谷川流域における国直轄による土砂災害対策(砂防事業)


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