第2節 自然災害対策

コラム 高規格堤防の効率的な推進に向けて

 高規格堤防の整備は、「人命を守る」ということを最重視して、首都圏及び近畿圏のゼロメートル地帯等の低平地において、越水、浸透、侵食等による堤防の決壊を回避するために実施しています。また、一連の区間のうち一部区間が整備された場合や基本的な断面形状が完成していない場合においても、整備箇所の堤防の安全性は格段に向上し、氾濫時には周辺住民等の避難場所や様々な活動拠点として機能するとともに、良好な住環境が提供されるなど多様な効果が発揮されます。例えば、荒川右岸の小松川地区においては、高規格堤防整備後、平常時には公園として住民の憩いの場となるとともに、災害時には約20万人の避難場所となる防災拠点として活用されています。
 今般、これまでの高規格堤防の現状と課題等について幅広く議論するべく、学識者から構成される「高規格堤防の効率的な整備に関する検討会」を平成29年5月から3回開催し、より効率的に高規格堤防の整備を推進するための方策が提言としてとりまとめられました。
 主な推進方策として、民間事業者等との共同事業により高規格堤防の整備を推進するために、高規格堤防の整備により利用可能となる川裏法面敷地を公園や道路へ活用することや建築物の敷地面積として算入することなど、共同事業者にインセンティブを与えるような仕組みづくりや、工期の短縮や共同事業者の裁量拡大に向けて、高規格堤防の盛土や地盤改良等と建築物や基礎等を一体的に施工することができる仕組みづくり等が提言されました。
 今後は提言を踏まえ、積極的に高規格堤防の整備を進めていくことを発信していくとともに、推進方策を具体化し、高規格堤防の整備を着実に推進していきます。
 
高規格堤防の説明

 
平常時は公園、災害時は防災拠点として活用 (荒川 小松川地区)
平常時は公園、災害時は防災拠点として活用 (荒川 小松川地区)

 
川裏法面敷地の活用
川裏法面敷地の活用



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