5)自動運転の実現に向けた取組み
WP29の下に設立された自動操舵専門家会議において、日本は共同議長を務め、高速道路での自動運転を可能とする自動操舵の基準を提案するなど、自動運転に関する国際基準の策定を主導している。自動操舵のうち、自動駐車機能及び自動車線維持機能の国際基準が29年3月に成立したことを受けて、これを国内に導入した。また、国内においても、高度な自動運転システムを有する車両が満たすべき安全性についての要件や安全確保のための方策について検討を開始した。
6)自動車型式指定制度
複数の自動車メーカーによる型式指定車の完成検査における不適切な取扱いを受け、平成29年11月にタスクフォースを設置し、自動車メーカーにおける完成検査の確実な実施と不正の防止、国土交通省の立入検査のあり方について、見直すべき点がないか検討を行うこととした。
7)リコールの迅速かつ着実な実施・ユーザー等への注意喚起
自動車のリコールの迅速かつ確実な実施のため、自動車メーカー等及びユーザーからの情報収集に努め、自動車メーカー等のリコール業務について監査等の際に確認・指導するとともに、安全・環境性に疑義のある自動車については(独)自動車技術総合機構交通安全環境研究所において技術的検証を行っている。また、リコール改修を促進するため、ウェブサイトやソーシャル・メディアを通じたユーザーへの情報発信を強化した。不具合情報の収集を強化するため、「自動車不具合情報ホットライン」(
www.mlit.go.jp/RJ/)について周知活動を積極的に行っている。
また、国土交通省に寄せられた不具合情報や事故・火災情報等を公表し、ユーザーへの注意喚起が必要な事案や適切な使用及び保守管理、不具合発生時の適切な対応について、ユーザーへの情報提供を実施している。特に、「お子さまの安全を脅かす未認証チャイルドシートにご注意!」について報道発表等を通じ、ユーザー等への注意喚起を行った。
なお、平成29年度のリコール届出件数は377件及び対象台数は770万台であった。
8)自動車検査の高度化
不正な二次架装
注の防止やリコールにつながる車両不具合の早期抽出等に資するため、情報通信技術の活用による自動車検査の高度化を進めている。
(7)被害者支援
1)自動車損害賠償保障制度による被害者保護
自動車損害賠償保障制度は、クルマ社会の支え合いの考えに基づき、自賠責保険の保険金支払い、ひき逃げ・無保険車事故による被害者の救済(政府保障事業)を行うほか、重度後遺障害者への介護料の支給や療護施設の設置等の自動車事故対策事業を実施するものであり、交通事故被害者の保護に大きな役割を担っている。