第5節 危機管理・安全保障対策

コラム 大和堆で急増する北朝鮮漁船等に厳正に対処〜日本漁船の安全確保〜

 日本海中央部の大和堆(やまとたい)は、イカやカニなどの好漁場です。大和堆は大正15年に当時の海軍水路部の測量艦「大和」が精密な測量をしたことで大和堆と名づけられました。
 日本海の平均的な水深はおよそ1,700mですが、かつて日本海拡大時に発生した海嶺の跡である大和堆の水深は浅く、最浅部は236mです。海の中の山脈と言える大和堆にぶつかった海流が、栄養豊富な深海水の湧昇を引き起こすことで、魚のえさとなるプランクトンが増殖するため、大和堆は日本有数の好漁場となります。
 
大和堆の略図
大和堆の略図

 近年、大和堆周辺の我が国の排他的経済水域では、違法操業を行っている北朝鮮漁船等が急激に増加し、日本漁船の安全を脅かす状況になっています。
 海上保安庁では、航空機による監視に加え、日本漁船の安全確保や北朝鮮漁船等の違法操業への対応などのため、平成29年7月上旬から大型巡視船を含む複数隻の巡視船を同海域に派遣し、延べ1,900隻以上の北朝鮮漁船等に対して、汽笛や大音量の音声などによる退去警告を実施するとともに、そのうち、300隻以上に対して放水措置を実施し、大和堆周辺の我が国の排他的経済水域から退去させました。
 
北朝鮮漁船に放水する巡視船
北朝鮮漁船に放水する巡視船

 
警告を受けて退去する北朝鮮漁船
警告を受けて退去する北朝鮮漁船

 海上保安庁では、引き続き、水産庁等の関係機関と緊密に連携して、厳正に対応することとしています。


テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む