第2節 循環型社会の形成促進

■3 自動車・船舶のリサイクル

(1)自動車のリサイクル
 「使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)」に基づき、使用済自動車が適切にリサイクルされたことを確認する制度を導入している。また、「道路運送車両法」の抹消登録を行う際、自動車重量税還付制度も併せて実施し、使用済自動車の適正処理の促進及び不法投棄の防止を図っており、平成28年度においてリサイクルが確認された自動車は1,355,988台である。

(2)船舶のリサイクル
 大型船舶のリサイクル(シップ・リサイクル)は、インド、バングラデシュ、パキスタン等の開発途上国を中心に実施されており、船舶リサイクル施設における労働災害と環境汚染等が問題視されてきた。これらの問題を解決するため、我が国主導の下、国際海事機関(IMO)を中心に議論がなされた結果、「2009年の船舶の安全かつ環境上適正な再資源化のための香港国際条約」(シップ・リサイクル条約)が採択された。本条約においては、船舶と船舶リサイクル施設のそれぞれについて検査と証書の保持が義務付けられ、アスベストやポリ塩化ビフェニル(PCB)等の新規搭載の禁止等が求められている。
 我が国は、シップ・リサイクル条約の早期発効に向け、主要リサイクル国であるインドの早期締結を促す取組みとして、平成29年9月に開催された日印首脳会議において、インドのシップ・リサイクル施設改善プロジェクトへのODA供与を決定するとともに、両国首脳において条約の早期締結の意思を再確認した。また、条約締結に向けた国内法制化のため、30年3月9日に「船舶の再資源化解体の適切な実施に関する法律案」を閣議決定し、国会へ提出した。
 一方、プレジャーボートは、そのほとんどが処理の難しい繊維強化プラスチック(FRP)製であるため、適切な廃棄処理ルートの確立が求められていたことから、FRP船のリサイクル技術の確立及び処理ルートの構築に向けた取組みが行われてきた。平成17年から(一社)日本マリン事業協会が主体となり、廃棄物処理法に基づく広域認定制度を利用した「FRP船リサイクルシステム」を構築し、全国で運用が開始された。現在では年間約510隻が適切にリサイクルされている。


注 寿命に達した船舶は、解体され、その大部分は鋼材として再活用される。


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