■1 運輸事業者における安全管理体制の構築・改善  「運輸安全マネジメント制度」は、運輸事業者に安全統括管理者の選任と安全管理規定の制定を義務付け、経営トップのリーダーシップの下、会社全体が一体となった安全管理体制を構築することを促し、国土交通省が運輸安全マネジメント評価(運輸事業者の取組状況を確認し、必要な助言等を行うもの)を行う制度であり、JR福知山線列車脱線事故等の教訓を基に、平成18年10月に導入されたものである。 図表II-7-4-1 運輸安全マネジメント制度の概要  29年度においては、運輸安全マネジメント評価を延べ1,094者(鉄道63者、自動車818者、海運196者、航空17者)に対して実施した。  また、同制度への理解を深めるため、国が運輸事業者を対象に実施する運輸安全マネジメントセミナーについては、29年度において3,183人が受講した。また、中小事業者に対する同制度の一層の普及・啓発等を図るため、25年7月に創設した認定セミナー制度(民間機関等が実施する運輸安全マネジメントセミナーを国土交通省が認定する制度)に関しては、29年度において13,493人がセミナーを受講した。  28年10月に運輸安全マネジメント制度の開始から10年が経過し、一定の効果が表れてきている一方で、自動車輸送分野における取組の一層の展開の必要性、未だ取組の途上にある事業者への対応と取組の深化を促進する必要性、効果的な評価実施のための国の体制強化の必要性等の課題が存在することから、こうした課題について運輸審議会において審議し、29年7月に答申を得た。同答申を踏まえて、  ・33年度までにすべての貸切バス事業者の安全管理体制の確認  ・今日的な課題である人手不足による職員の高齢化、輸送施設等の老朽化、自然災害、テロ・感染症等への対応についての経営トップの認識の深度化、組織全体としての取組を促進  ・運輸事業者の安全統括管理者や安全管理部門同士が交流を深めるための「横の連携」の場づくりを目指した安全統括管理者会議(安全統括管理者フォーラム)の創設  ・運輸事業者における安全文化の構築・定着、継続的な見直し・改善に向けた取組を支援するための国土交通大臣表彰の創設 等の取組を行い、運輸安全マネジメント制度の一層の強化・拡充を図ることとした。 図表II-7-4-2 運輸安全マネジメント制度の今後のあり方について(運輸審議会答申(平成29年7月))