第2節 住宅・建築分野における地球温暖化の緩和に向けた課題  エネルギー起源のCO2排出量のうち、家庭と業務部門からの排出量は全体の約34%を占めている。家庭部門のCO2排出量は、世帯数の増加とともに増加し、業務部門のCO2排出量は、延床面積の増加とともに増加する傾向にあり、2005年度(平成17年度)のCO2排出量は、それぞれ1990年度(平成2年度)の1.37倍と1.45倍となっている。このため、地球温暖化緩和のためには、両部門におけるCO2排出量の削減が不可欠である。 図表I-2-2-1 家庭、業務部門におけるCO2排出量の状況  両部門におけるエネルギー消費の内訳を見ると、冷房、暖房、給湯は合わせると半分程度を占めている。このため、今後、両部門からのCO2排出量を削減していくためには、建物の断熱性の向上や高効率の設備機器の導入等の建物本体の省エネルギー性能の向上に加え、その使い方等を含めた総合的な取組みが必要である。また、建物の建設や廃棄の際にもエネルギーが必要になることから、建物に関するエネルギー消費量は、使用時だけでなく建設から廃棄までのトータルで考える必要がある。 図表I-2-2-2 家庭、業務部門におけるエネルギー消費量の内訳(平成17年度)  このような観点から、本節では、家庭部門における「住宅」と業務部門におけるオフィス、商業施設等の「建築物」の分野で、利便性や快適性を確保しつつ省エネルギー対策を進めていくための取組みについて、以下の3つの視点からその現状と課題を整理する。  1) 建物本体の断熱性の向上や建築設備の効率化による省エネ性能の向上  2) 建物、設備機器等の使い方による省エネの推進  3) 建物の長寿命化による建設から廃棄までのトータルな省エネの推進