(1)国鉄改革の意義

〜国鉄事業の再生


 国鉄改革の意義は、国鉄再建監理委員会の意見にあるとおり、破綻に瀕している国鉄を交通市場の中での激しい競争に耐え得る事業体に変革し、国民生活充実のための重要な手段としての鉄道の役割と責任を十分に果たすことができるよう国鉄事業を再生させることであった。
 そしてその具体的方策として、国鉄経営の破綻の原因は公社制による全国一元的な経営形態にあるとし、適切な事業単位への分割及び民営化が行われた。その際、旅客部門の分割を行うに当たっては、旅客の流動実態等を重視して6会社を設立し、各会社の安定的な経営基盤の確保については収益調整措置によって担保することとした。また、貨物輸送については、列車の運行実態等にかんがみ、旅客部門からは経営を分離し、全国一元の経営体制とした。
 一方、経営形態の変革に伴い生ずる問題のうち、余剰人員対策については、旅客会社に適正要員規模の2割増の人員を移籍させるとともに、旧国鉄職員の再就職対策として、移行前の希望退職及び清算事業団への移行者に対する再就職プログラムを実施した。
 また長期債務等の処理に当たっては、新事業体の事業経営の健全性の確保と最終的な国民負担の軽減の2つの要請を最大限満たす観点から、本州3社(JR東日本、JR東海及びJR西日本をいう。以下同じ。)及びJR貨物に簿価(新幹線は再調達価額)評価資産に見合う債務を負担させるとともに、清算事業団の土地、株式等の資産の売却収入を残債務等の処理財源とし、最終的に残る長期債務等については国民に負担を求めるという現在のスキームが定められた。