(ウ)緊急耐震補強


 鉄道施設耐震構造検討委員会は、鉄道施設の耐震性の向上について、7年7月26日、新たな耐震設計手法が確立されるまでの当面の措置として、「既存の鉄道構造物に係る耐 て」及び「鉄道新設構造物の耐震設計に係る当面の措置について」をとりまとめた。これを踏まえて運輸省では、同年8月24日に既存の鉄道構造物の緊急耐震補強計画をとりまとめた。
 同計画は、大規模な地震に対しても構造物が崩壊しないことを基本的目標とし、新幹線及び輸送量の多い在来線の線区を対象に、既存の高架橋、開削トンネル等について、新幹線については概ね3年、その他の鉄道については概ね5年を目途に緊急耐震補強を実施しようとするものである。この計画に基づき、各鉄道事業者は耐震補強工事を実施しているところである。
 なお、耐震補強工事により取得した鉄道施設については、8年度税制改正において固定資産税の特例措置が講じられた。また、地下鉄等に対して耐震補強工事に要する費用の一部に対する補助を行っているほか、JR、大手民鉄に対しては日本開発銀行による低利融資が行われている。