2 国際交通網の充実


 国際定期航空輸送は、国際的な人的交流及び物的流通を支えその促進を図るため必要不可欠なものであり、利用者のニーズに適切に対応した運航路線と輸送力を確保していくことが重要な課題となっている。このため、新規の航空協定の締結及び既存の航空協定の改訂等による航空関係の一層の拡充を目指して航空交渉を精力的に行っている。7年度においては、16カ国との間で22回の航空交渉が行われ、ニュージーランド航空企業の福岡乗り入れ、日本・ミャンマー間の国際航空業務の開始等国際航空交通網を拡充することに合意したほか、香港の中国返還後の日本・香港間の国際航空業務を規律する日本・香港間の航空協定への仮署名が行われた。また、8年3月にはポーランドとの間の航空協定が発効しており、8年7月現在、我が国の航空協定締結国数は47カ国となっている。更に、新規に我が国との間の航空協定の締結を希望する国は40カ国に上っている。8年7月には、パプア・ニューギニアと航空協定締結に向けた予備協議を開催し、輸送力及び路線について合意しており、今後、協定締結に向けて協議が行われる予定である。
 海運については我が国外航海運政策は「海運自由の原則」を基本としており、我が国外航海運に係る制度は世界的に見ても最も自由化が進んでいると言える。我が国は海上交通安全と海洋環境に配慮しつつ、自由で公正な国際海運市場を形成するため、WTO(世界貿易機関)、IMO等の国際機関における活動に積極的に貢献している。また、米国、EU等とは海運政策の調整及び意見交換を行っており、8年1月にワシントンで開催された日米海運協議においては米国海運法の見直し、アラスカ原油輸出禁止解除法、WTO海運継続交渉等について意見交換を行ったところである。
 さらに中国、韓国等の近隣諸国との間では二国間協議の実施等により両国海運企業が相互主義に基づき航路開設や営業活動を確保できるように努めており、その成果の一つとして、中国において邦船社の100%出資による法人の設立が行われたところであるが、今後とも更に自由化に向けた努力を続けていくこととしている。
 また、国際的な相互依存関係の深化の一方で、各国間の競争が進んでおり、我が国においても国際交通網を支える必要な社会資本を確保するよう港湾・空港の整備を進めている。