1 港湾を取り巻く現状−大交流時代の到来−


 近年、我が国港湾を取り巻く状況は、大きく変化している。今や、人、物、情報の交流が国、地域、個人の間で重層的に行われ、様々な社会、文化が高密度で交流する「大交流時代」と呼べる新しい時代が到来した感がある。
 我が国の港湾は、従来から交通、生活、産業等の基盤たる社会資本としてそれぞれの時代の要請に応じつつその役割を果たしてきた。高度経済成長期においては、産業基盤として工業港づくりへの強い要請があったが、近年は日常生活に密着した貨物の輸入が急増し、また廃棄物海面処分場、親水緑地等の港湾機能への社会的要請が高まるなど、港湾に求められる役割はより多様に、かつ高度になってきている。