1 第6次海岸事業五箇年計画の策定


 我が国は、四方を海に囲まれ、入り組んだ地形を持つことから非常に長い海岸線を有し、その総延長は約35,000kmにも及ぶ。また、国民生活、生産、流通等の諸活動は臨海部を中心に営まれており、臨海部を高潮、津波、侵食などから防護することは重要な課題である。平成7年度末現在、堤防や護岸等の海岸保全施設により防護する必要のある海岸約16,000kmのうち、整備された海岸延長はわずか6,500km(整備率41%)にすぎず、今後とも計画的な海岸の整備が必要である。一方、国民生活のゆとり指向を受けた「余暇空間」としての観光、レクリエーション等の場としての利用や、地球環境の保全に対する関心の高まりから、海岸は「環境空間」としての役割を期待されている。このため、第6次海岸事業五箇年計画(8〜12年度)は、安全という単一の目的にとどまらず、利用の促進や自然との共生に資するよう、事業目的の複合化を図ることとしており、その閣議決定がなされる予定である。本五箇年計画の基本目標は、@国民の生命と財産を守り、国土保全に資する質の高い安全な海岸の創造、A自然との共生を図り、豊かでうるおいのある海岸の創造、B利用しやすく親しみの持てる、美しく快適な海岸の創造の3つとし、12年度末には整備率を5割(48%)に引き上げることにしている。