3 我が国航空企業の競争力向上に向けての取り組み


 近年、世界的な航空不況が続く中で、米国における巨大航空企業による寡占化、欧州における国境を越えた企業間の連携、アジアにおける低コスト企業の台頭など、世界の航空業界は大きな変貌を遂げようとしており、日本発着の国際航空需要の積取りにおける我が国航空企業のシェアは近年低下している。
 このような状況下で、我が国航空企業は懸命な合理化等の経営改善努力により体質強化を図ろうとしているが、従来から安定した経営基盤を有しているとはいえないことに加えて、国内線・国際線の双方における一層の競争激化等により、その収支は末だ厳しい状況にある。
 国民の足として必要不可欠な国内航空はもちろん、国際航空においても我が国航空の果たすべき役割はますます重要なものとなっており、利用者の立場から見ても我が国航空企業の競争力強化は喫緊の課題となっている。
 そこで、運輸省では、我が国航空企業の競争力強化にかかる6年6月の航空審議会答申を受けて、定例整備の海外展開に道を開き、ウェットリース及び共同運送の要件を緩和するなど、競争力強化の環境の整備に努めているところである。
 また、各航空会社においても懸命なリストラに取り組んでおり、コスト面では雇用形態や賃金体系の見直しをはじめとする構造的問題にも取り組んでいるほか、ベア・賞与等の抑制等による人件費の圧縮、宣伝費その他の管理費の節減に加え、ウェットリースや航空貨物における運航委託の活用、コードシェアリングの活用による路線運営の改善、定期整備の海外への委託等に取り組んでいる。また収益面では、FFP(常顧客優遇制度)の特典の拡大等各種の営業努力、PEX運賃の設定等により増収に取り組んでいるところである。
 また、国内航空の面でも後述する幅運賃制度の導入に伴い、各社間で実質的な競争が行われることとなり、各々コスト削減等に努めつつ企業間競争を行っている。