第10章 運輸における地球環境問題等への取り組み


 運輸における環境問題は、地球温暖化、オゾン層の破壊、海洋の汚染等の地球全体に影響を及ぼす問題(地球環境問題)と、自動車排出ガス等による大気汚染等の地域的な環境問題に大別されるが、いづれも運輸行政における極めて重要な課題である。このため、これまで運輸省においては、環境にやさしい交通体系の形成をめざし、地球環境に関する観測・監視体制の充実強化、自動車の排出ガス規制や燃費の改善、船舶からの油等の排出規制等の個別の交通施設ごとの対策、物流における自動車から鉄道や海運へのモーダルシフトの推進、公共交通機関の整備と利用の促進、低公害車の普及等の対策を総合的に展開してきたところである。
 今日の環境政策の対象領域の広がりに対応して、環境の保全の基本理念とこれに基づく基本的施策の総合的な枠組みを示す環境基本法が平成5年11月に成立し、環境基本計画が6年12月に策定された。さらに、7年6月には環境基本計画を受けた「国の事業者・消費者としての環境保全に向けた取組の率先実行計画」が策定され、経済主体として大きな位置を占める国が自ら行う活動に際し環境保全に率先して取り組むことを明らかにした。
 運輸省では、環境基本法の制定等を踏まえ、「環境の保全に関する運輸行政指針」を6年6月に策定し、運輸省の行政における環境保全施策の一層の充実を図ることとしている。