(1) 海洋汚染をめぐるIMO等の動き


 国際海事機関(IMO)では、船舶に起因する海洋汚染防止に関する条約である「1973年の船舶による汚染の防止のための国際条約に関する1978年の議定書(MARPOL73/78条約)」等を基礎に、常に新たな課題への対応を進めてきているが、7年9月に、船舶内で発生する廃物の不法投棄を防止するためのプラカードの船内掲示、廃物管理計画の備置等を内容とするMARPOL73/78条約附属書Vの改正を採択し、ま た現在、船舶からの大気汚染防止に関する新たな条約について規則の内容をとりまとめるなどの海洋汚染に関する取り組みを継続している。
 また、7年5月に発効した(我が国については8年1月に発効)、大規模な油流出事故における防除体制の強化及び国際協力体制の確立を主たる目的とする「1990年の油による汚染に係る準備、対応及び協力に関する国際条約(OPRC条約)」については、油以外の有害物質の流出事故への条約の適用範囲の拡大についての検討が進められている。
 このほか、輸送中の有害危険物質により生じた海洋汚染損害等について補償の確保等を図るための「危険及び有害物質の船舶による海上輸送に伴う損害についての責任並びに賠償及び補償に関する国際条約(仮称、HNS条約)」が8年5月に採択された。さらに、タンカーの油濁事故による被害者への国際的な損害賠償補償制度を定めた「油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約(CLC条約)」及び「油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約(FC条約)」について、船舶所有者及び国際油濁補償基金による被害者への損害賠償等の限度額を引き上げること等を内容とする議定害が4年11月に採択され、8年5月に発効した。
 また、6年9月に採択された北西太平洋地域海行動計画の枠組みにおいては、日本海及び黄海における海洋環境保全を目的として、海洋環境モニタリング、海洋汚染防止措置等についての具体化のための検討が進められている。