2 港湾技術の開発


 港湾建設に従事する熟練工の減少や労働者の高齢化に対応するため、港湾工事の省力化や安全性の向上を目指して、ケーソンを現場で簡単に組立てることができるプレハブ化の技術や、大水深での工事が可能になる水中施工ロボットの開発等を行っている。
 港湾技術研究所においては、より良い沿岸域環境の創造を目指して、環境条件を制御することのできる干潟実験水槽を用いて、干潟や海浜の自然浄化能力の測定や物質循環機構の解明を進め、沿岸環境の保全と創造等に関する技術の開発を行っている。また、阪神・淡路大震災で多くの港湾施設が被災した状況を踏まえ、このような大規模な直下型地震に伴う3次元の強い地震動に対する耐震技術の開発のため、大型水中振動台を3次元振動が可能なように改良しており、研究の充実化を図っている。
 また、我が国の中枢的国際コンテナ港湾の国際競争力を強化し維持するため、大量のコンテナを短時間のうちに低コストで処理する次世代コンテナターミナルの開発を行っている。
 なお、昭和62年度から山形県酒田港において現地実験を実施してきた防波堤を利用した波力発電システムは、7年3月に商用電力系統への接続実験に我が国で初めて成功した。今後は事業化に向けて、さらなる発電システムの効率化と、効率的な電力利用方策の検討を推進していく。