第1章 昭和38年度における国内輸送

  昭和38年度における各輸送機関による国内輸送量の合計は,貨物輸送において 〔I−1−1表〕に示すように23億7900万トン,1810億トン・キロで37年度のそれぞれ18.2%増および12.0%増,旅客輸送において 〔I−1−2表〕に示すよ5に262億7100万人,3212億人・キロで37年度のそれぞれ8.6%増および10.9%増となつた。
  トン・キロによつて貨物輸送を輸送機関別にみると鉄道が対前年度比わずか5.1%の上昇にとどまつたのに対して,貨物自動車輸送は近年の傾向を維持して全品目にわたつて著増を続け,対前年度比29.6%増となつており,一方内航海運も石炭輸送減少の影響を受けながらも,石油類および砂利等の建設資材の輸送の激増により,対前年度比9.6%の増加となつている。航空については,貨物輸送への利用はまだ広く行なわれていないが,伸び率は大きく,31.9%増しとなつている。このため,トン・キロによる各輸送機関の輸送分担比率は, 〔I−1−1表〕に示すように自動車の分担比率が増加した。

  つぎに人・キロによつて旅客輸送を輸送機関別にみると自動車輸送の20.7%増に対して,鉄道は7.4%増にとどまつた。この間にあつてまだ旅客輸送全体に占めるウエィトは小さいが37.5%の増加率を示している航空の成長が注目される。このため,人・キロによる輸送分担比率は, 〔I−1−2表〕に示すように貨物輸送ほどではないが自動車の分担比率の増加をみた。
  運輸省試算による国内輸送活動指数(昭和35年度のトン・キロ又は人・キロを基準とし,輸送機関別の付加価値額をウエイトとして,ラスパイレス方式によつて作成した指数)は 〔I−1−3表〕に示すとおり総合で172.3で対37年度比23.2%増,貨物輸送は173.9で24.0%増,旅客輸送は170.7で22.6%増となつており,国民総生産の対前年度比12.3%増および鉱工業生産の対前年度比15.1%増に代表される経済活動の変化をかなり上回つた増加率を示している。