1 自動車の保有状況


(1) 自動車の保有台数の現状

  自動車輸送需要の急激な伸びを反映して,わが国の自動車保有台数は年年増加し,昭和39年3月末には600万台の大台に接近した。その内訳は, 〔I−(II)−5表〕のとおり,バス約8万台,乗用車約108万台,トラック約213万台,軽自動車約蟹7万台,特殊用途車その他約17万台となつており,全体に対するトラック及び軽自動車の占める割合が大きい。

  ところで,わが国の2輪車を除く自動車保有台数を39年1月1日現在で世界の主要国と比較すると,総数では世界第7位,トラック及びバスは世界第3位,乗用車は世界第8位,となつている。また,わが国の自動車1台当りの人口は,20.6人であり,アメリカの22人は別としても,世界平均が18.4人であつて,まだ普及度は低い。つぎに各国の自動車の保有構造をみると,欧米の主要国においては乗用車の占める割合が80%から90%と大きいのに対し,わが国においてはソ連と同様にトラックの占める割合が大きく,乗用車はわずか27%を占めているにすぎない。しかし最近は乗用車の占める割合が年々伸びており,徐々に欧米型の保有構造に近づく傾向にある。
  6大都市の自動車保有台数の合計は,昭和39年3月末で170万台あり,全国の約29%を占めている。東京都特別区だけでも全国の約14%を占めており,最近の大都市における交通事情の悪化を物語つている。

(2) 自動車保有台数の推移

  自動車保有台数の推移をみると,昭和30年度末には約150万台であつたが,38年度末には約594万台に達し,8年間で約4倍の伸びを示している。最近の5年間では対前年度増加率が20%前後となつており,その増勢はおとろえをみせない。
  つぎに,用途別車種別自動車保有台数の推移をみると 〔I−(II)−5表〕のとおりであり,普通乗用車,小型3輪トラック,小型2輪自動車を除き,軽自動車の340倍(対30年度比)を筆頭にいずれも増加を示している。
  普通トラックおよびバスの保有台数の伸びは低いが,車両の大型化が進んでおり,これをバスについてみると,32年度には,平均乗車定員が54名であつたものが,37年度には62名になつている。
  以上の如き自動車保有台数の急増は,最近における自動車輸送需要の増大,個人所得の増加,自動車産業の発展等によつて,支えられてきたものであるが,今後数年間は依然この傾向が持続するものと予想される。


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