2 船舶検査体制の強化


  現在船舶検査官は,船舶安全法に基づき船舶検査を行ない,船舶の安全確保について重要な役割を果しているが,海難の現状から航行状態における安全設備の実態を把握し,適確な指導を行なうために出航前の立入検査の強化に努めている。また,海難の原因を造船技術の面から究明し,船舶の安全技術基準に反映させる必要があるので,この点についても検討をし,今後船舶の安全確保のための指導を強力に行なわなければならない。
  しかし,船舶検査の対象船舶数は,逐年増加の傾向にあり,これに伴い船舶検査官の業務量も著しく増加してきている。
  そこで38年,船舶安全法および同法施行規則を改正し,船舶の検査の合理化,能率化を図るために船舶の検査方法の改善,認定工場制度の採用および予備検査の範囲の拡大などを行なつた。
  しかし, 〔II−(V)−4表〕のとおり予備検査件数は依然として増加する傾向にあり,また,船舶検査件数も逐年増加しており,39年は前述の船舶の検査方法の改善によりいくらか減少したものの,今後,船舶の性能向上に伴なう複雑化および船舶検査対象船舶数の増加に対応して増加することが予想される。さらに業務量の増加のみならず業務内容の高度化,専門化により船舶検査官の研修制度の拡充等の問題が生じており,今後は,船舶検査官の量的および質的な問題を解決しなければならない。


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