2 国産機の動向


  わが国の国産機の構成は,ベル47シリーズ,S-55,S-62,S-61,V-107,YS-11,MU-2,N-62,F-200等でそれぞれの機数は 〔III−30表〕のとおりである。このうちYS-11,MU-2,N-62,F-200の4機種の飛行機以外はすべてへリコプターで,しかも米国航空会社との技術提携によつて製造されたものであり,純然たる国産機とは言い難い。これらのヘリコプターは前述のように農業用に広く用いられているベル47シリーズ型は別として,その需要が伸び悩みの状態である。
  初の国産ターボ・プロップ旅客機YS-11は,60座席を有し,必要滑走路長が同種の旅客機としては極めて短いこと等,優れた特長を有する輸送機で,昭和39年8月25日に運輸省航空局の型式証明を取得した。量産機は月産1ないし1.5機のペースで製造され,既に14号機まで航空局,防衛庁,東亜航空(株),日本国内航空(株),全日空(株)等に引き渡され,またフィリッピン・フェアウエイ杜と2機の契約が成立し,国産旅客機として初めて外国に輸出されることになつた。更に防衛庁海幕用としての貨物機への設計変更が行なわれており,近い将来民間用としても利用されることであろう。
  MU-2型機は,7人乗ターボ・プロップ多用途ビジネス機で,フランス製エンジンを搭載したものはMU-2A型機と呼ばれ,昭和40年2月18日に型式証明を取得し,その試作第1号機はニューヨーク世界博に出品され関係者の注目を浴びた。アメリカ製エンジンを搭載したMU-2B型機も開発され,昭和40年9月15日に型式証明を取得し,その量産機2機は既に米国へ輸送され,10月初旬のエアショウに,国産機として初めて出品された。
  自家用,訓練用として設計されたN-62型機は4人乗りのピストン機である。昭和40年9月2日に型式証明を取得したが,注文に応じて月産2機までのベースで製造される予定である。
  F-200は4人乗り小型ピストン機で,目下型式証明試験を続行中である。
  YS-11機は昭和40年9月7日に米国連邦航空庁より国産機として初めて型式証明書の交付を受け,輸出のために有利となつた。MU-2B,N-62,F-200の3機種もともに米国連邦航空庁に米国政府の型式証明取得のための申請手続中であるが,いずれにしてもわが国航空機工業,航空活動の発展のために,国内需要はもとより海外輸出の道を講ずるよう官民一致して努力すべきである。


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