1 空港の使用状況及び整備状況


(1) わが国の空港の現状

  わが国の民間航空は,昭和26年に再開されたが,当時民間航空用飛行場はほとんど皆無に近い状態であった。しかし,昭和31年に制定された空港整備法に基づき,本格的に整備を開始した結果,現在までに, 〔III−21表〕のとおり,第1種空港2,第2種空港17,第3種空港29(整備中のものを含む),ヘリポート1,共用飛行場5が整備され,そのほか民間資金のみで整備された飛行場が6,ヘリポートが29あり,民間航空の用に供されている。

  これらの飛行場の使用状況についてみると, 〔III−22図〕および 〔III−23図〕にみるように,着陸回数,乗降旅客数とともに年年増加しており,航空需要の増大を示している。
  昭和40年の着陸回数は,国際線1万1,000回,国内線30万8,000回で,前年に比べてそれぞれ23%増,8%増となっている。また,乗降旅客数は,国際線141万人,国内線1,051万人であり,それぞれ前年の26%増,9%増となっている。

  このような航空需要の増大に伴い航空機の大型・高速化,運航回数の増加がみられており,これに対処するため,滑走路の新設,延長,エプロンの新設,拡張等の基本施策の整備及び運航の安全および定時性を確保するための航空施設の整備が急務となっている。

(2) 空港の整備状況

  空港整備法の制定された昭和31年度から昭和41年度までの空港整備事業費(国費のみで,調査費および災害復旧事業費を除く。)の累計は332億円に達しており,そのうちわけは,第1種空港に対するものが61%,第2種空港に対するものが22%,第3種空港に対するものが13%,共用飛行場に対するものが4形となっており,これを年度別にみると 〔III−24図〕のとおりである。ここ数年,第2種空港に対する投資額の増大が目立っている。

  なお,第3種空港については,国費のほかに,設置管理者である地方公共団体の負担分(国費とほ底同額)および地方公共団体単独事業費があるので,第3種空港における投資額は,国費分の約3倍程度に達しているものとおもわれる。

 (イ) 第1種空港第1種空港は,国際航空路線に必要な飛行場であって運輸大臣が設置し,管理するものであり,その整備事業費は全額国が支出する。現在第1種空港として,東京・大阪の両国際空港がある。

      東京国際空港は,国際航空路線の要所にあり,また,わが国国内航空の中心でもあるので,その利用航空機,利用航空旅客等は年々大幅に増加している。昭和40年の着陸回数,乗降客数はそれぞれ4万9千回,450万人に達しており,国は昭和32年度から,3,150mの滑走路新設を中心とする整備工事に着手し,39年度に完成をみたが,エプロンの不足,大型機の格納庫の不足等が目立ちはじめたため,40年度からエプロンの増設等の整備計画をすすめている。さらに滑走路についても,現在同空港には,3,000m級の滑走路が2本,1,570mの滑走路(B漏走路)が1本あるが,B渇走路は,大型ジェット機の発着には不十分であるので,最近の国際線の増加,国内線就航航空機の大型化,ジェット化等に対処するため,B滑走路の延長を検討しており,そのための調査を行なっている。
      大阪国際空港は,国内航空路線の中心であるとともに,国際空港としても最近,東南アジア方面への窓口として重要性を増してきている。
      同空港については,昭和33年度以来,現在ある1,828mの滑走路に平行する3,000m滑走路,エプロン,ターミナルビル,駐車場等の新設を中心とする整備計画を進めており,昭和45年に開催される万国博を目途に,昭和43年度末までに主要部分の整備を完了する予定である。

 (ロ) 第2種空港,第2種空港は,主要な国内航空路線に必要な飛行場であって,運輸大臣が設置し管理するものであり,現在17空港がある。その整備事業費は,全額国が支出し,別途基本施設(滑走路,誘導路,エプロン)の新設または改良の工事に要する費用については,その25%相当分を当該空港の存する都道府県から負担金として徴収する。

      第2種空港の規模は,滑走路の長さでみると名古屋空港の2,740mを除けば,いずれも1,500m以下であり,大型高速化している国内航空路線就航機の離発着には不十分な状態にあるので,離着陸回数,乗降客数,航空路網上の位置等の観点から,必要な空港については逐次,滑走路の延長を行なうとともに,滑走路の嵩上げ(補強),エプロンの増設,所要の航空保安施設の整備等を進めている。
      41年度は,40年度に引き続き,函館,仙台,広島,松山,熊本,宮崎,鹿児島の各空港の滑走路の延長工事を行なう。

 (ハ) 第3種空港第3種空港は,地方的な航空運送を確保するため必要な飛行場であって,地方公共団体が設置管理する。第3種空港29(整備中のものを含む)のうち,北海道にある5空港(道が設置管理する女満別空港を除く。)は市または町が設置管理しており,他の23空港は都または県が設置管理している。

      整備事業費は,基本施設については50%を国が負担し,付帯施設については50%以内(通常は50%)を国が補助する。北海道の空港及び離島空港については,それぞれ空港整備法または離島振興法により,国の負担割合が大きくなっている。
      施設については,滑走路の長さは1,200m級が普通であるが,今後ローカル航空路線の主力機となることが予想されるYS-11型機の運航には,滑走路の強度等が不十分であるので,航空需要が多く,YS-11型機の就航が予想される空港については,滑走路の嵩上げを行なう必要がある。41年度は,秋田,山形,岡山の各空港の滑走路の嵩上げ工事に対して補助金を交付する。
      なお,41年4月現在で,第3種空港29のうち,供用開始しているものは,19空港であったが,同年7月に旭川,福井,出雲,宇部,壱岐,紋別の各空港が開港した。

 (ニ) 共用飛行場防衛庁または米軍が管理する飛行場を民間航空が使用しているところがあるが,その場合には,運輸大臣が民間航空専用地域を設け,エプロン,ターミナル・ビル等の施設を整備して,民間航空の便を図っているのが通例である。防衛庁の飛行場については,運輸大臣は公衆の利便を増進するため必要があると認めるときは,防衛庁長官と協議して,着陸帯その他の施設を公共の用に供すべき施設として,指定することができる。現在この指定がされているのは,千歳,札幌,小松,徳島の各飛行場である。

      41年度は,小松,板付飛行場の民間航空専用施設の改良工事及び徳島飛行場における航空旅客の急増に対処するための民間航空専用施設の新設工事を40年度に引き続き行なう。

 (ホ) 小型機用飛行場およびヘリポート,小型機およびヘリコプタによる航空測量,農薬撒布,報道,宣伝等のいわゆる産業航空は,急激に伸びており,このため各地で小型機用飛行場およびヘリポートの建設が行なわれている。

      このうち,39年に完成した東京都東京ヘリポートについては,その重要性にかんがみ,工事費用の40%の国費が投入された。


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