2 その他の諸問題


  以上のほか,わが国外航海運発展のためには,当面つぎのような諸問題がある。

(1) 定期船部門の充実

  従来,油送船,専用船等に比べ,定期船の整備は必ずしも十分でないため,邦船輸出積取比率は40%を割り,わが国定期船隊のなかで,外国用船は37万総トン12.0%(42年1月1日現在)を占めている。また,邦船全体に対しで定期船は,就航量では24.3%(42年1月1日現在),輸送量では12.7%(41年)を占めるにすぎないが,運賃収入では46.3%(41年)を占めている。
  したがつて,輸出積取比率の改善,定期航路運営の安定性確保および海運業の再建整備達成を図るため,定期船部門の充実のための努力が要請されている。
  ただこの際,コンテナ船と在来型定期船との関係および取引き単位の増大に伴い在来型定期船輸送に不適合となつてきている鋼材,自動車等の専用船輸送の問題に注目する必要がある。

(2) 海上コンテナ輸送体制の整備

  国際海上輸送のコンテナ化は,流通コストの低減をもたらす定期船分野の技術革新として世界海運における大勢であり,41年以来急速なテンポで進展しているが,わが国においても,定期船の国際競争力と輸出競争力の強化を図るため,海上コンテナ輸送体制を早急に整備する必要がある。
  このため,41年9月の海運造船合理化審議会の答申に基づきその整備が進められているが,なかでも北米大平洋岸航路のコンテナ輸送は,その経営体制については,41年12月に中核6社間においてグループ化を進めることとなり,43年秋に6隻のフル・コンテナ船の就航により開始される予定である。
  しかし,コンテナ輸送は,在来定期船輸送に比較して巨大な投資が必要で,初期段階では相当大幅な赤字が予想され,自立体制への途上にあるわが国海運企業にとつて大きな負担を伴う重要課題となるであろう。
  また,海上コンテナ輸送は,一貫輸送,ユニット輸送を実現する合理的な輸送方式であるが,通関検査をはじめ港湾や内陸輸送における関係者の調整,運送人の責任等のコンテナ輸送への適合化等の問題があり,その効率的な運用のため,積極的に新らしい制度,慣習を育てる努力が必要である。


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