第3節 国民の海外渡航の状況


  国民の海外渡航は,戦時中から戦後にかけて強い規制を受けてきたが,平和がよみがえるとともに年々制限が緩和されてきている。すなわち,38年4月1日以降,年間総額500ドル以内の業務渡航が承認され,39年4月1日以降は観光渡航も年1回500ドルまでの外貨持出しが自由になつた。さらに41年1月1日以降は,「1人年間1回かぎり」という回数制限も撤廃され,1回500ドル以内であれば自由に渡航できることとなつた。
  このような一連の海外渡航自由化は,国民所得の向上等とあいまつて日本人の海外渡航増加の原因となつている。 〔IV−26表〕によれば,海外渡航者数は38年の海外渡航の自由化以来毎年高い伸びを示しており,42年は42万7,829人であり,前年に比べ25%増であつた。

  42年の海外渡航者を目的別にみると, 〔IV−27表〕のとおり,観光が42%,業務が48%となつており,41年に比べると観光の占める比重が増している。

  42年の出国日本人の渡航先を旅券に記載された国別にみると, 〔IV−28表〕のとおり41年と大差なく,香港,中華民国への渡航が依然として多い。また,渡航者の対前年増加率をみると,北米地域とくにカナダや中近東・アフリカ地域等への渡航者の伸びが著しく,大洋州への渡航者が減少しているのが注目される。


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