総論
第1部 昭和43年度の運輸経済

  昭和43年度のわが国経済は年度当初より,輸出の力強い増大,民間設備投資,民間消費支出の根強い増勢に支えられて,経済活動が一段と拡大し,国民総生産の対前年度成長率18.3%(名目),鉱工業生産指数の対前年度伸び率17.2%と高度成長を記録した。この43年度の日本経済の高度成長は41年以降連続した息の長いものであつて,期間的には過去の最長であつた岩戸景気(昭和33年6月から36年12月までの42カ月)の記録を本年5月に更新し,その後も上昇を続けている。
  43年度の運輸経済は,以上のような経済情勢のなかで順調な伸びを示し,総合輸送活動指数(昭和40年=100)で197.5となり,前年度に比べて25.2%の伸びを示した。このうち国内輸送活動は,前年度同様活発化し,貨物輸送22.6%増,旅客輸送28.3%増であつたが,これは主として自動車の輸送が貨物・旅客両面において依然として高い伸びを示したためである。また,国際輸送活動指数は,貿易規模の拡大基調に対応したわが国外航船腹の拡充と国際航空の強化を反映して,前年度に比べて21.3%と順調な伸びを示した。

  昭和42年9月にはじまつた景気引き締めの影響を前回調整期(引き締め開始時39年3月),前々回調整期(同36年7月)と比較してみると, 〔1−1−2図〕に示すように引き締め開始後の景気動向は前回,前々回とも約半年後には下向きに転じているが,今回は転換のきざしがみられず長期にわたつて上昇を持続している。輸送活動も景気動向と同様,前回,前々回も引き締め開始後やや増勢鈍化の傾向がみられたが,今回は,引き締め開始前の拡大基調を保ち続けた。