3 自家用乗用車の増大


  国民所得の増大,行動様式の変化,時間距離短縮に対する要請の高まりなどにより自家用乗用車が著しく伸びている。43年度の自家用乗用車の輸送人員は43億8,400万人で,ハイヤー・タクシーの38億3,000万人より多くなつた。輸送人員でみた輸送分担率も42年度の9.1%から43年度には12.1%へと高まつている。自家用乗用車の保有台数をみると42年度には310万台,31人に1台の割合であつたのが,43年度には410万台,25人に1台の割合へといつそう普及している。陸運局別に自家用乗用車の保有状況,輸送人員をみると 〔1−1−11表〕に示すようにモータリゼーションの波は全国的な広がりを示しているがそのなかでも新潟,札幌,高松等の地方において伸び率が高い。これは地方においては公共輸送機関のサービスが低水準にあること,所得の向上により購買力が高まつてきたことなどによると思われる。
  つぎに,東京をはじめ大都市における自家用乗用車の保有台数,輸送人員はその伸びが他地域に比べて低いとはいえ,依然として高水準を維持している。都市に集中した人々の所得の向上による自家用乗用車所有欲の高まり,膨大な業務量の発生等によつて自家用乗用車をはじめ大都市における自動車の密度は高い。そして大都市における自動車輸送量の増加は 〔1−1−12図〕の東京都の例に示すとおり自家用乗用車の増加によるところが大きいがこの自家用乗用車の進出によつて道路混雑が深刻化し重大な社会問題となつている。


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