2 営業用自動車の重大事故発生状況


  営業用自動車の重大事故の発生件数および被害状況について,昭和32年以降の推移を示すと 〔I−(II)−31図〕のとおりである。43年中の事故件数は11,156件で前年に対し0.8%増加し,これに伴つて死傷者数も3.8%増加した。しかし,上記事故件数の増加率0.8%は,この間における営業用自動車数の伸び率7.5%を大幅に下回つている。次に,これを事業の種類別にみると, 〔I−(II)−32図〕に示すとおり,件数ではハイヤー・タクシー,次いでトラック・バスの順に多いが,これを自動車1,000台当りでみると,ハイヤー・タクシーは28.6件,バスは23件,トラック12.3件になる。また,死者数ではトラック,ハイヤー・タクシー,バスの順に多い。
  事故を種類別にみると 〔I−(II)−34図〕のとおり「衝突」および「死傷」(通行人等当該自動車に乗車していない者を死傷させた事故)の2種類の事故で大多数を占めている。これらの事故の原因については, 〔I−(II)−35図〕のように大半の事故が当該車両の乗務員の不注意によつて発生したものである。なお,車両の構造的欠陥によつて起つた事故は全体の0.8%である 〔I−(II)−33表〕。車両故障による事故は逐年減少しているとはいうものの,安全確保上極めて重要である制動装置の不良に起因するものが全体の1/3を占めており,これらの装置に対する点検,整備等の一層の強化を図る必要がある。
  重大事故発生の背後には,人と車の混合交通が行なわれていること,道路容量が交通量に対応していないこと等道路整備の立ち遅れ,ガードレール,踏切施設等道路諸施設の不備および運行管理,車両管理の不備等解決しなければならない問題がある。


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