1 港湾基本施設整備事業港湾整備5カ年計画の初年度にあたる43年度の港湾施設整備事業は 〔II−(III)−6表〕に示すように,1,069億円をもつて実施された。前年度に対する伸び率は15.1%で,5カ年計画に対する進捗率は13.4%である。しかし,国費の対前年度伸び率は,発足後2年目をむかえ本格的な施設整備の始まつた外貿ふ頭公団への出資金を除くと,6.3%と低く,このため,公団事業を除いた港湾施設整備事業において,国費の占める割合は前年度の61.5%から59.3%へと低下した。
外貿ふ頭公団事業については,京浜,阪神両公団ともに,それぞれ50億円の事業実施が認められ,横浜港本牧地区,神戸港ポートアイランド地区及び大阪港南港地区において本格的な岸壁工事に着手した。
東京港等6大港については,外貿,内貿施設ともに貨物量の急増に対応して施設整備の促進を図るため43年度の事業費は330.6億円と前年度の約271.6億円に対して24%の増となつている。
鹿島港等開発港湾の整備についても,とくに重点的な予算配分がなされ,鹿島42.3億円,苫小牧23.8億円,新潟29.0億円,八戸18.4億円,伏木富山13.3億円,金沢12.2億円,秋田10.7億円,石巻10.2億円,大分9.0億円と以上の9港で165.8億円に達し,前年度比約20%の増となつている。
イ 新規着工港湾
ロ 新規着工事業等
また,東京湾口航路および酒田港新港においては,事業実施にさきだち,実施設計調査が実施された。 また,特定港湾施設整備特別措置法にもとづく特定港湾施設工事としては,鉄鋼港湾として,木更津港航路の水深14m浚渫工事および防波堤に着工したほか,和歌山下津港において,防波堤工事に東播磨港において,水深16m航路の浚渫工事に着工した。 なお,43年度の事業実施に際し,地方港湾木更津港が重要港湾に地方港湾忠岡港,岸和田港および貝塚港の3港が合併のうえ,重要港湾阪南港にそれぞれ昇格したほか,地方港湾船橋港が特定重要港湾千葉港に,同じく地方港湾泉北港が特定重要港湾堺港(編入後,港名を堺泉北港と変更)に,また,地方港湾西宮港が重要港湾尼ケ崎港(編入後,港名を尼ケ崎西宮芦屋港と変更)にそれぞれ編入された。 44年度は港湾整備5カ年計画の第2年度にあたり,港湾整備事業は,直轄事業および補助事業あわせて1,247億円で,前年度に対する伸び率は,17%となつた。このうち国費は666億円で,その対前年伸び率は14%を示したが,事業費全体に占める国費の割合は53%と,43年度の55%に比べて若干低下した。 港湾整備5カ年計画に対する進捗率は2年間で全体の29%を達成することになる。 外貨ふ頭公団事業については,京浜外貨ふ頭公団が事業費65億円をもつて,東京港大井ふ頭及び横浜港本牧ふ頭においてコンテナーふ頭の整備を促進するほか,在来型外航定期船用のリースバースとして,東京港13号地ふ頭の整備に着工することとなつた。阪神外貿ふ頭公団は事業費70億円をもつて,大阪港南港ふ頭及び神戸港ポートアイランドふ頭においてコンテナーふ頭の整備を促進するほか,在来型外航定期船用のリースバースとして神戸港ポートアイランドふ頭の整備を促進することとなつている。この結果,コンテナーふ頭については,昭和44年度中には次の各バースが供用開始されることとなり,すでに公募の結果,借受け船社も決定している。 横浜港本牧コンテナーバース 1号〜3号 大阪港南港コンテナーバース 1号及び2号 また,今後の港湾整備の課題である施設の効率的利用と整備財源の確保をはかるため,44年度からあらたに大阪港,姫路港,宇野港,岩国港の4港において,物資別専門ふ頭の整備に着工することとなつた。 この物資別専門ふ頭は,鉱石類,衆穀類,木材,砂利等大量のばら荷貨物を対象に,これらの貨物のうちの特定品目を専門的に取扱うふ頭で,それぞれの品目に適した荷役機械等を整備することにより,高能率荷役をおこなう一方,利用者から荷役時間の短縮等に見合つた高料金を徴収し,ふ頭整備の財源の一部としようとするものである。
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