1 国鉄ローカル線


  国鉄ローカル線は輸送規模もきわめて小さく,その大半は輸送量からみて鉄道施設が過剰化しており,国鉄の経営にとつても大きな負担となりつつある。ローカル線経営については,30年代の初めから国鉄の経営問題の審議検討のために設置された各種の委員会,調査会においてとり上げられてきた。
  国鉄においても,その合理化のため駅業務を中心とする管理方式の改善,デイーゼル化等による車両運用や乗務員運用の合理化等を行なうとともに,一部については路線の廃止自動車による代行輸送を実施してきたが,赤字は解消せず,むしろ拡大している。
  国鉄ローカル線のうちでもとくに問題となる83線区について,輸送人員の推移をみると 〔2−2−16図〕のとおり,定期,定期外客とも年々減少している。

  このように年々減少する輸送量に対して,輸送コストは人件費の上昇を生産性向上で吸収できないことなどのため上昇し,経営収支は悪化の一途をたどり,44年度においては収入64億円に対し,経費は231億円と約3.6倍に達している。この83線区の鉄道輸送に直接従事している要員は7,000人以上になつており,1人当りの年間販売高は約90万円で,職員1人当りの年間給与支給額にも達しない状況である。
  しかし,これらローカル線は,沿線住民の足として利用されてきた沿革もあり,その存廃は地域住民に影響を及ぼすものであるが,上述のようにローカル線はすでに存立の基盤を失つており,企業として経済性の回復は不可能となつている。


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