3 乗合バス


  地方におけるバス輸送は,都市部においては比較的好調であるものの,それ以外の地域,とくに人口流出の続く地域においては,その存続はきわめて困難な状況にあり,住民の足の確保をめぐつて深刻な社会問題を生じている。
  例えば,高知県でも同県内で運行している事業者が,経営の行詰りから営業規模を縮小することになり,路線の大幅な休廃止を行なうに至つた。休廃止の対象となつた路線は,いずれも乗車密度が著しく低く,採算点にははるかに及ばない閑散路線であるが,これらは主として,公共輸送機関の代替のない山間部の路線であり,それが休廃止されることによる地元住民への影響は大きく,しかもその地域は広範囲にわたつているため,地元の県や市町村でもその対策に苦慮している。また,このようなケースは高知県に限らず全国の人口減少地域で共通的に現われており,このような地域の住民の生活を維持する上で深刻な問題を提起している。
  地方とくに郡部で運行している乗合バスは, 〔2−2−18図〕にみるように輸送需要は年々減少をきたしその多くが不採算路線化しており,これらの休廃止を望む事業者の声も高まつている。

  このため,乗合バスの路線の休廃止申請はいぜんとして多くを数えている。
  乗合バスが存立の基盤を失つて路線の廃止があいついでいる反面,地方においては,自家用バスの利用が増加している。しかし,これも公共輸送機関の便が悪いために事業所,学校等が送迎用にやむを得ず使用しているものが多く,使用者にとつても負担となる等の問題を生じている。


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