1. 自動車検査等の充実強化
(1) 自動車検査の充実
運輸省は,自動車の整備不良による事故を未然に防止するため,軽自動車(48年10月から検査実施)および小型特殊自動車を除くすべての自動車に対して,新規検査のほか車種により1年または2年に1回,定期的な継続検査を実施するとともに,必要に応じ構造等変更検査等を行ない,盲動車の安全性の確保に努めている。
このため,年々激増する自動車数に対処するため,46年度においては検査場6カ所を拡充して6コースを増設し,検査要員を38人増員した。47年度には,検査場を沖縄に新設するとともに,3カ所の検査場を改修拡張することにより,6コースを増設し,検査要員も32人増員することとしているが,いまだ不十分であり,今後とも検査体制の強化を図る必要がある。
また,検査施設の近代化を図るため,新設の検査コースまたは老朽で更新すべき検査コースについては自動方式検査機器の設置を進めており,検査記録も,電子情報処理組織によりフアイルされている。
(2) 軽自動車に対する検査制度の創設
近年,軽自動車の普及はまことに目覚ましいものがあり,現在約600万台にも達し,その安全性の確保および公害の防止を図ることが急務となつている。このため,従来車両検査を実施していなかつた軽自動車に対しても48年10月より一般車と同様に車両検査を実施すべく,先の第68回国会において道路運送車両法の一部改正を行なつた。
この軽自動車の検査は,国が直接実施せず運輸大臣の認可によつて設立される全額政府出資の軽自動車検査協会に行なわせるものとしており,軽自動車検査協会は東京に本部を置き,各都府県に1カ所(北海道は7カ所)の全国53カ所の支所を設置して検査業務にあたることになつている。
軽自動車の安全性の向上および公害の防止は,この検査制度の創設により,今後飛躍的に向上するものと期待されている。
(3) 自動車の型式指定等
自動車の安全性の増進および使用者の利便を図るために,自動車等の製作者の申請に基づき,申請された型式の自動車等が「道路運送車両の保安基準」に適合し,かつ,均一性を有しているかどうかを審査して型式指定または型式認定を行なうという制度を実施しているが,45年度には交通安全公害研究所を発足させ,同研究所の自動車審査部において審査を行なうこととし,審査体制の充実強化を図つた。なお,46年度中の型式指定件数は187件,型式認定件数は71件であつた。
(4) 自動車安全規制の強化
自動車の安全性については,「道路運送車両の保安基準」により,逐次その強化を図つている。
46年度には衝突時の乗員被害軽減対策として,乗用車に対して衝撃吸収かじ取ハンドルを義務付け保安基準を強化した。
今後,きらに,自動車の構造装置面の安全性を高めるため,国内においては,規制面における試験研究体制を強化し,国際的には諸外国と積極的に規制および研究の動向について情報交換を行なうとともに統一基準作成のための審議に参加し,わが国の実情に応じた安全対策を推進することとしている。
この一環として,45年11月に日本政府と米国政府との間で実験安全車(ESV〉の開発で日米両国が研究協力することとなり,わが国においては3カ年計画で1,000キログラム級の実験安全車を試作することが決定され,48年末までに完成をめざし,各社において研究,実験が推進されている。
また,47年9月には,運輸技術審議会から自動車安全基準の考え方,安全基準の拡充強化目標等を内容とした「自動車の安全確保のための技術的方策について」の答申がなされた。今後,保安基準はこの答申に沿つて改正強化していく予定である。
(5) 欠陥車対策
自動車の構造装置の安全性について,44年6月以降のいわゆる欠陥車問題を契機にその対策として,欠陥車が発生し,またはそのおそれがある場合は,自動車メーカーにおいて欠陥内容,回収計画についてすみやかに運輸省に届出を行なうとともに,自動車使用者に周知徹底することを自動車型式指定規則の改正等により制度化している。
欠陥車の届出の実績については,46年度において18件,対象台数は約80万台となつている。
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