1 収支概況


  国鉄の損益の状況は, 〔I−(I)−25表〕のとおりであり,昭和47年度の営業損失は3,501億円,これに営業外の損益を加えると3,415億円の純損失となり,47年度末の累積赤字額は1兆1,411億円となるとともに,減価償却前の損益についても今年度は1,184億円という大幅な損失を生じ,極めて憂慮すべき状態となつた。

  この原因は,国鉄再建計画の改定を目的として第68回国会に提出した「国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案」が廃案となり運賃改定ができなかつたこと等により,収入が伸び悩んだ一方,支出面では,仲裁々定による人件費の増加及び借入金利子の増大等,収支両面にわたる影響が主要因となつている。

(1) 収入

  旅客輸送を輸送人キロにおいてみると普通旅客は,前年度に引き続き国民所得の着実な上昇による旅行ブーム等に支えられ,なかでも,新幹線が新大阪・岡山間開業により26%増加する等,前年度に比べ6%の伸び率を示したが,定期旅客はほぼ横ばい傾向で,旅客全体においては,前年度に比べ4%増加した。
  この結果,旅客輸送は,9,217億円と前年度に比べ7%の増収となつた。
  貨物輸送については,フレートライナーを中心としたコンテナ輸送が前年度を上回る順調な伸びを示した反面,石炭,鉱石,木材,砂利等の第1次産品の減少は依然として続き,また,労働争議によつて貨物輸送が長期にわたつて混乱したことも加わり,貨物全体の輸送量は,前年度に比べ輸送トン数で6%,輸送トンキロで4%減少し,この結果,貨物収入は,2,395億円と前年度に比べ4%の減収となつた。
  雑収入については,工事費補助金320億円,財政再建債利子補給金78億円及び合理化促進特別交付金5億円を含めて831億円と前年度に比べ21%の増加となつた。

(2) 経費

  営業経費は,総額において1兆5,944億円と前年度に比べて12%の増加となつた。経費全体の上昇に最も影響を与えている人件費の増加は,主として仲裁々定の実施による職員給与等の増加によるものであり,修繕費の増加は,工場,運転関係区等における人件費のアツプ及び電気,施設関係の強化等の重点施策の実施によるものである。
  資本経費は,総額において4,187億円と前年度に比べ15%の増加となつた。これは,国有鉄道運賃法改正案が不成立になつた影響もあり,借入金が増加し利子及び債務取扱諸費が351億円と前年度に比べ22%増加したほか,新幹線新大阪・岡山間開業等に伴う資産増により,減価償却費等が増加したことによるものである。


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